第661話 国の重鎮の姿か? ……これが?

「もも肉美味しい」

「しっとりジューシィでもう最高!!」

「タレでも塩でも美味いが、ここは塩に軍配が上がるな」

「単純な肉本来の味が段違いで美味い!」

「ビールに合うねぇ!」


 リボーンフィンチのもも肉、しゃぶしゃぶした時もしっとりしつつジューシィな味わいだったんだけど、焼くとまた若干異なるね。

 大枠としてはそのままなんだけど、やっぱり焼いたことによる身の表面のパリッと感と、何より香ばしさが追加されて滅茶苦茶美味い。

 炭火ではないから、そこの香りは無いんだけど、それでもプラスされる香ばしさだけでビールが進む。

 ……なお、この350ml缶が今日飲む最初で最後の酒なもよう。

 残りはご飯で……。


「キャベツ美味しい」

「これ後引くな」


 作った無限キャベツも好評です。

 一玉だけじゃ足りないと思って二玉分作ったからな。

 たくさん食え。


「これでビールが飲める」

「焼酎ハイボールと山芋マンドラゴラの梅和えが相性えぐいぞ」

「そうこうしとるうちにやげん軟骨じゃ」


 サイドメニューというか、お野菜メニューも好評な所にやってきましたやげん軟骨。

 コリコリした食感とちょっと付いたお肉のジューシィさで、いくらでも食える串筆頭候補。

 なお、もも肉も全体のバランス的にいくらでも食える筆頭なもよう。

 ――というか、いくらでも食えるって言えないの、脂のキツさでぼんじりぐらいじゃないかな?

 え? それは俺が歳だからだろう?

 ……事実陳列罪やぞ。


「この食感が嬉しいわな」

「ワイバーンの軟骨よりも、カリっとしててクリスピーですわね」

「ちょっとしたスナック感覚かも」

「これはこれで美味いね」


 ちなみにリボーンフィンチのやげん軟骨は、カリコリしてるってよりはパリッとサクッとって感じ。

 近い例えが思い浮かばない……鳥皮チップスを二枚重ねたみたいな……。


「面白い食感……」

「酒に合うンだなぁこれが」


 『無頼』アメノサ組も楽しんでくれてるし。

 ……あれ? この人らに軟骨食べさせたっけ……。

 いやでも、ドラゴンBBQの時には居たし……。


「ほれ、レバーが焼けたぞい」

「あ、はい」


 手渡されたレバーは可能な限り薄くスライスしたやつ。

 駄菓子屋とかにある、串に刺さってタレが塗られたイカのやつみたいな感じ。

 しゃぶしゃぶしてシャッキリとした歯ごたえになったレバーなら、変に切るよりこうした形状の方が美味しいと思ってね。

 ガブロさんも、ほぼ焼きしゃぶレベルで、置いてひっくり返して渡してくれたし。

 それでも、きっと絶妙な焼き加減なんだって信頼がある。

 なにせ焼き物担当ドワーフだからね。


「んおっ!?」

「これうめぇな!!」


 意外や意外……でも無いな。

 美味い。

 しゃぶしゃぶの時ほどシャッキリとした食感ではなく。

 なんというか……マグロの刺身みたいな食感。

 それも冷凍もので、解凍が完全に出来てない感じの。

 ただ、噛んだ瞬間に溢れる旨味と、口の中で溶けていく感覚はレバー。

 いや違うな、レバーだけどレバーじゃない。

 バターとかの方が近いんじゃないか?

 臭みは無く、鉄分っぽさも焼いたことによる香ばしさでかき消せる程度。

 口の中で溶けて広がる旨味は、レバー苦手な人でもこれなら食べられる、を誘発すること請け合い。


「しゃぶしゃぶとはまた違うわね」

「でもめっちゃ美味しい」


 ……あ。


「しゃぶ……しゃぶ?」

「二人で楽しんだ……の?」


 またやったよ、この姉貴。

 そんな美味しそうなワード出したら食いしん坊が食い付くに決まってるでしょ!

 反省しなさい!!


「その……味見の為で……」

「塩茹でに飽きたからしゃぶしゃぶにしようって翔が……」

「ほぅ?」


 売るな!! 俺を売るな!!

 この人でなし! 姉!! 姉貴!!


「……後日ご用意します……」

「うむ」


 いやまぁ、正直な話をすれば作る気だったんですけどね。

 こう、サプライズというか、驚きも合わせての食事の提供だから……。

 この驚きを抜いたら、シュガースポットのないバナナのようなもので……。


「気を取り直してハラミじゃわい」


 取り直された。

 そして渡されるハラミ串。

 塩、タレ両方。


「肉汁が滴ってやがるぜ」

「ご飯! 欲しい!!」


 そのあまりのビジュアルに、アメノサさんが思わずご飯を注文。

 これを食べたらよそってあげるよ。

 今すぐ欲しいなら自分でよそいに行くんだね。


「ジュワッと溢れる肉汁!」

「コクのある旨味と柔らかい食感!!」

「だが、噛むとしっかり噛み締められる絶妙な塩梅の柔らかさ!」

「癖は無いし、タレでも、塩でも美味しいわね」

「この串、無限に食えるぞ……」

「ご飯ーー!!!」


 あまりの美味しさにアメノサさん、ご飯をよそいに猛ダッシュ。

 いやでも分かる。

 これでもかってくらいご飯と一緒にどうぞな味してる。

 もうね、滴る肉汁はサラサラとしてて甘く、肉の旨味やコクと一緒に口の中を暴れまわる。

 そうした口内に、キンッキンに冷えたビールを流し込む幸せね。

 声が漏れるわ。


「く~~っ!」


 ご飯とも合うけどビールとも合いまくるね。

 今ので三分の一は飲んじまった。

 でも、それくらい飲まないとハラミに失礼だから。


「ご飯美味しい!!」


 ……アメノサさんがリスみたいになっとる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る