第641話 黒い……フルーツ
……ふぅ。
堪能した。
異世界寿司、イセカイハモとイセカイマグロの二種類しかネタが無かったけど、十分というか、これ以上ない位の満足感でした。
美味過ぎるんだよな、両方が。
そしてワインに合い過ぎる。
流石は神様がワインに合わせることを考えて設定した味ですわ。
「カケル、デザートなのだが……」
「ん、もう食べます?」
俺と姉貴は常識の範囲内で。
異世界組はアメノサさんを除いて常識の範囲外の寿司を平らげてたんだけど……。
食べ終わってほぼインターバルも無くデザートですか。
大したものですね。
「食べる!」
「じゃあ準備しますね」
と言う訳で登場するのは神様にもお供えしたバニラアイスファミリーパック。
そしてココナッツサブレにビスケット、クッキーなどの焼き菓子たち。
「?」
「俺が好きなアイスにビスケットサンドって奴があるんですけど、それを手作りしましょう」
なお、手作りと言っても工程はバニラアイスを挟むだけなもよう。
一から焼いてなんて面倒だし。
「ビスケットやクッキーがあるのは?」
「色んな組み合わせが出来た方が面白いじゃないですか」
で、どうせ挟むだけなら挟む物でレパートリーを増やせばいいじゃない。
という事で、スーパーで見かけた大体の焼き菓子類を買って来てみました。
「よし。じゃあ俺はクッキーで挟む! ……ラベンドラ、頼んだ!!」
「ああ」
頼むな。自分でしろ。
それくらい。
あとラベンドラさんも受けなくていいんですよ?
本人にやらせていいんですからね?
「ところでカケル」
「何でしょう?」
「アイスの方にアレンジをするのは構わないか?」
「もちろん。……ちなみにどんな?」
「こちらの果物を入れたりだな」
異世界……果物……牡蠣バナナ……ウッ……頭がッ……。
「構いませんよ」
「うむ」
「ちなみにチョコレートアイスもあるので好きに使ってください」
「ほう」
「やったー!」
で、出すや否やチョコレートアイスの方に身を乗り出すマジャリスさん。
……既に手にはクッキーサンドアイスが存在しているように見えるが?
「わしは焼き菓子だけでよいのぅ」
「同じくだな」
ちなみに飲兵衛組はココナッツサブレやビスケットを齧っておられます。
まぁ、この人らががっつくようなデザートでは無いわな。
「バニラアイスに『――』を混ぜた奴が出来たぞ。いる奴は?」
「私にちょーだい」
……まじか姉貴。
得体の知れない異世界フルーツ入りのアイスを食べるために立候補とかよく出来るな……。
貰ったアイスをクッキーに塗り、一口……お味は?
「んー……柑橘っぽい感じ?」
「サッパリした香りと酸味が付いたはずだ」
「うん。感じる。レモンほどじゃないわね。こう、柚子っぽさがある感じ」
ふむ……なるほど。
まぁ、流石に味に関しては変になるような組み合わせはしないわな。
――味に関しては。
見た目? ははは。
ひじき入りアイスって所かな。
ビジュアルが黒じゃなくてオレンジとかならなぁ……。
果物の皮って言えなくも無いのに、よりによって黒だからなぁ。
どう見てもひじきにしか見えんのよ……。
「溶けたアイスをクッキーが吸った時のしっとり感がいい」
「あら、それを言うならビスケットでも同じことが言えますわよ?」
「サブレでも、そう」
で、あのアイスの醍醐味ともいうべき事柄に気が付いたようだな。
あのアイスは、少しだけ時間が経ってしっとりしてきたビスケットが美味いのだ。
しかもただのビスケットじゃない。
溶けたアイスを吸ってふやけたビスケット、だ。
あれがたいそう好きなのよ、俺。
んじゃあ俺も作っていただきますか。
「ココナッツサブレにバニラアイス~と」
ちなみに挟むわけではなく俺は乗せる派。
一口ごとに乗せて食べてを繰り返す。
理由? 何となくかな。
乗せてすぐに食べたいってだけ。
「こういう素朴なデザートもいいもんだな」
「そうですわね」
素朴……かなぁ?
でも異世界人が素朴って言うなら素朴なんだろうな。
深く考えないようにしよう、ヨシ。
「焼き菓子だけでも十分美味いのにな」
「ワインによってはこれらにも合う奴があるじゃろうな」
「有り得る話だ」
……まぁ、焼き菓子でバターが香るクッキーとかには合うワインは意外と多いんじゃない?
あと、香ばしい感じが合うワインも多いだろうし。
――ハッ!? 神様が焼き菓子たちを所望している気がする!!
(……いや、何故バレたんじゃ?)
人間の勘を甘く見るな。
学習と経験から生じる、未来予知にすら到達しうる知恵を持っとるんやぞ。
(わし、そんなに分かりやすいかのぅ……)
はい。
むしろ逆に、分かりやすくないと思える要素イズ何? レベルだと思うの。
(ふむぅ……)
「ビスケットとクッキーで挟むの、美味しい。いいとこどり」
「バラバラで食べて、気分でアイスをディップするのもいいですわよ?」
「結局どんな食べ方でも美味い」
結局ね。
間違いな食べ方なんて無いわけで、間違いが無いという事は漏れなく美味しいという事です。
……ところで姉貴は? なんか静かになってない?
「……ひじき?」
……今気づいたんかい。
んで、気付いたから固まってんのかい。
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