第601話 トロッとキリッと
さて、今晩のご飯なんですけれどもね。
お好み焼き、これを作っていこうかと。
ただ、普通に作ったんじゃ面白くないって事で……。
普通はさ、山芋は『繋ぎ』として使うわけだけど……。
今日はその『繋ぎ』と『粉』の比率を逆転させてみようかと。
つまり、ふわっふわのお好み焼きみたくなる……はず。
「蕎麦でそれやってるレシピは見たことあるんだけどなぁ……」
顎に特徴がある某クッキングダディのレシピでさ。
そば粉と山芋の比率を逆転させた、『ばそ』なるものがあったはず。
面白いよね、『そば』と考え方が逆だから『ばそ』。
ああいう遊び心があるメニュー考え付くの普通に凄い。
……まぁ、それがお好み焼きにも通じるのかって所ではある。
でも、山芋焼きは存在してるし、そこに粉が加わって大外れはしないと思うんだよね。
ちなみに山芋焼きにしない理由は、まず間違いなく確実に酒をねだられるからである。
なお、お好み焼きにしたところでどうせねだられると思うけど。
「ビールなら、俺も一緒に楽しめるし……」
あの人らの事だ。山芋焼きにしたら絶対に焼酎か日本酒のリクエストが入る。
飲めないわけじゃあないんだけど、ちょっとの量でダウンすることを考えると俺には重いのよ。
……あ、でも焼酎ハイボールとかにしちゃえばいいのか。
ほな大丈夫か。
「どうせ鉄板の上で焼くだけだし、生地を二種類作るか」
お好み焼きに欠かせないキャベツ、ネギ、豚肉を購入し、あともやし。
鰹節に青のり、魚粉もしっかり買いまして。
焼酎は……黒いラベルのこいつでいいか。
店内値札のおススメ飲み方にハイボールってあったし。
「忘れ物はないはず……うん」
本日はデザートを購入する必要は無し。
何故なら姉貴からメロンの食べ比べセットが送られてきたから。
神かな?
アンデス、マスク、夕張の三種類が入った奴らしく、適当に送った、とは言ってたんだけど……。
まさか4つも送られてくるとは思わなんだ。
配達員さん困惑してたよ。
こいつこんなにメロン食うんか? って見られてたもん。
食べるのほとんど俺じゃないんです……。
「待てよ?」
その時、翔に電流走る。
何かで見たんだけど、半分に切って真ん中の柔らかくて美味しい部分をくり抜いた後に、バニラアイスやソーダを流し込んでメロンクリームソーダを作ってる映像を思い出したぞ?
え? それ出来たら最高じゃね?
絶対美味しいじゃん。
それを夕張やらマスクメロンやらの高級品でやる贅沢よ。
……ならばこちらもやらねば不作法と言うもの。
と言う訳でお会計後に店内にとんぼ返りし、買うもの買って……帰宅!!
*
ただいま! と言う事でね。
また例の如くマンドラゴラを切り落とす作業が必要なんですけれど。
賢い僕は考えました。
相手はマンドラゴラ。そう何度も包丁で切られるのは嫌だろう、と。
そして向こうは声を発せないけど、恐らくこちらの声は聞こえている。
つまり……。
「もし可能ならでいいんだけど、自分で身体を分離できたりしない?」
こちらが切るのではなく、向こうから自主的に分けて貰えばいいのだと。
……皆まで言うな。
普通に思考がサイコパスのソレなんだよね。
君の事切り刻むんだけど、もしよければ自分で自分を切らない? って言ってるようなもんでしょ、これ。
しかも山芋マンドラゴラ、涙ぐみながらめっちゃ体震わせてさ。
その辺でヤバい発言だったなぁと反省してたんだけど……。
ポトッと、山芋マンドラゴラの先端が落ちたのよ。
小指の先くらいのサイズの。
で、『それで勘弁してください』みたいな感じで冷蔵庫の隅に逃げるのよ。
結論、人間とマンドラゴラは分かりあう事は出来なかったよ。
「はいはい暴れないの」
で、そんな事を強要したせいか、包丁持って山芋マンドラゴラに手を伸ばすとめっちゃ抵抗してきてさ。
でも、手足が無いから逃げられない。
改良品だからか声も出せない。
つまり山芋マンドラゴラ君。
全てが終わるまで震えながら唇をかみしめ続けるしかないって言うね。
……もしかしなくても俺、悪役過ぎやしないか?
「ま、いいか」
必要分集まったので解呪作業。
続いて出汁の準備。
「……昨日ほどしっかり取らなくていいか」
と今日は出汁パックでお出汁を抽出。
毎日毎日黄金出汁とか引いてたら手間が凄いからね。
やってる人たちはマジで凄いよ、ほんと。
「そういや、ラベンドラさん達に干物加工再開できるって伝えなきゃな」
ゴー君が進化し、ワインの熟成が可能になって。
ゴー君の中がワインだらけになったせいで中断してたんだよね。
港町で魚を買って、俺が干物に加工してそれを別の町で売る。
それを繰り返せば、やがてその作り方が真似られて市場に流通するようになる、って言ってたけど、どれくらい時間がかかるのやら。
俺はゴー君がいるから楽だけど、干物とか、ただ単に干せば完成ってわけでもないしなぁ。
そういや、港町で魚とかイカを回転させるタイプの乾燥機とか見た記憶あるな。
……動画探して見せてみるか?
なんて考えていたら紫の魔法陣が登場。
さて、それじゃあ晩御飯を作りますかね。
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