第536話 わりと繊細
意外と言うかなんというか……。
キャベツもレタスも普通に美味しい。
まぁ、その両方とも白菜の親戚みたいなもんだし、美味しいのも納得だよね。
――って、『無頼』さんが言ってた。
「この白いのは?」
「お餅です。ご飯を加工するとこうなります」
「へぇ~」
いやまぁ、米ともち米は違うとか色々あるけれど。
細かい説明したところで頭がこんがらがるだけだろうし、今はこれくらいの大雑把な説明だけで良い。
どうせ飯沼にはハマってるんだ、じっくりおいおい育てていこう。
「これもしゃぶしゃぶするのか?」
「です」
と言う訳で薄切りお餅をしゃぶしゃぶ。
茹でられて柔らかくなってきたところで、端っこをポン酢に付けて食べる。
ん~~! うまぁ~。
餅にイセカイカワブタの出汁が大変よく絡んで美味いでござる。
……次はポン酢じゃなくて大根おろしを乗っけて食べよ。
「これは美味いな」
「ですわね」
『夢幻泡影』の四人も驚いておりますわ。
……ん~、イセカイカワブタの出汁でしゃぶしゃぶしたネギが美味い。
ネギの甘みが引き立つね、イセカイカワブタの旨味で。
……と言うか、休肝日だから仕方が無いけど、これはすこぶる日本酒と合っただろうなぁ。
そうだ、
「ちなみにラベンドラさん」
「なんだ?」
「このしゃぶしゃぶにワインを合わせるなら、赤です? 白です?」
「……白だな」
まぁ、魚だもんね。
白の方が合うか。
「ですが、しっかり火を通すと赤の方が合いそうですわよ?」
「む、確かに」
火を通すと豚肉っぽくなるもんね。
……豚肉にも白じゃないの? 知らんけど。
「であるならばロゼだな。あれは白と赤、両方の側面を併せ持つ」
「確かに、それなら合いそうじゃ」
と言う訳で、異世界からそれ正解、イセカイカワブタのしゃぶしゃぶに合うワインはロゼワインということに決まりました。
みんなもイセカイカワブタのしゃぶしゃぶをする時は参考にしてね?
「自分で言う事じゃあねぇンだがよ?」
「なんでしょう?」
「俺がこンなに野菜を食うの、かなり珍しいぞ?」
「見た目通り肉食なんですね」
犬だもんね、見た目。
いやまぁ、狼なんだろうけど。
どっちにしろ当たり前にネギとか食べてるし。
犬なのに。
アボカドとか玉ねぎも喜んで食べるんだろうな、犬なのに。
「まぁ、肉体労働だからな。メインは肉だ」
「だが、ここで食事をすると魚も素晴らしいものだと理解出来るぞ?」
「野菜の美味しさも理解出来ますわよ?」
「甘味の良さもな」
「酒のツマミの情報も膨大じゃぞ?」
昔の話だけどさ、戦国時代は、今みたいに牛や豚を食べてたわけでは無いじゃん?
鶏肉も、今ほど普及してなかったわけで。
そうなると野菜と魚と米で毎日食事をしてたわけ。
肉体労働しか無いであろう戦国時代に、だよ?
そう考えると、必ずしも肉体労働=肉、ってわけでも無いと思うんだよね。
今から考えると飛脚とか、かなりぶっ飛んだことやってるし。
「マジでどれだけ先を行ってンだよ……この場所は」
なんて言いつつ、結局しゃぶしゃぶは肉も野菜も、用意していた具材は奇麗に無くなりましたとさ。
「ふぅ……食った食った」
「何を勘違いしている?」
「ひょ?」
「まだカケルの提供フェイズは終了していませんわよ?」
とうとう翻訳魔法さんが『無頼』さんにまでミームネタをあてはじめやがった。
この虫野郎!
(落ち込んでいじけておるが?)
ごめんて。
思ってないから。
そのミーム内のネタだから。
後でアイスあげるから機嫌を直して。
(笑顔になったな)
なんだろう、顔を見たことは無いし、何なら姿も見た事無いんだけどさ。
多分可愛いよね、翻訳魔法の精霊さん。
「一体何が始まるというンだ?」
第三次大戦だ。
だから言わすなっての。
んじゃあ早速……。
「洗ったお米を入れまして」
「ふむふむ」
「蓋をします」
「ふむ」
「待ちます。以上です」
「……何なんだよ」
特に詳しい説明も無く目の前で蓋をされて、『無頼』さんは不満顔。
何が作られるか分からなくて不満よな、ラベンドラ、動きます。
「想像しろ」
「何をだよ」
「あの美味い出汁を吸った米を」
「……なるほどな」
まぁ、うん。
雑炊ですし。
もうしばらくしたら溶き卵を回し入れて、ねぎを散らして完成よ。
あんなに美味い出汁で作った雑炊……きっと衝撃を受けることになるだろうね。
……主に俺が。
「今の内にデザートを出しましょうか」
「なんだと!? デザートは食後ではないのか!? レギュレーション違反では!?」
どこのレギュレーションだよ全く。
それに、今回俺が用意したデザートは、別に食後でなくても大丈夫な物なの。
と言う訳でお出ししましょう。
本日のデザート!
「……アイス?」
「ゆずシャーベットになります」
しかもお店で買って来た奴ね。
柚子皮に入れられてるやつ。
「口の中をサッパリさせるものなので、口直しとしてご提供です」
「……なるほどな。一度しゃぶしゃぶを食べた口をリセットさせようという事か」
「ですです。コース料理とかで出てくるやつですね」
フランス料理とかで、口直しにシャーベットとか出るって聞いてね。
美味しい物は続いても美味しいだろうけど、こうして一度リセット掛けてはどうだろう? という試み。
果たしてうまくハマってくれるかどうか。
「では早速いただいてみよう」
「ですわね」
と言う訳で雑炊を待ちながらのゆずシャーベット……実食。
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