第270話 色々発覚

「姉貴、デザートワインは?」

「まだまだあるわよ! と言っても昨日飲んだ奴と同じのだけどね」

「十分じゃわい! あのワインは美味かったからのぅ!」

「今の内に舌に味をしっかりと刻み込みませんと。異世界でも同じ味になるとは限りませんもの」

「確かに。製法が再現出来たからと言って、味まで再現出来る保証はないな」

「嫌だぞ!? 俺はこの異世界と同じ甘さのデザートワインが飲みたいんだ!!」


 デザートワインの話になり、話題が広がる中。

 俺はベイクドチーズケーキを奇麗に等分しましてっと。


「というわけで本日のデザート。水切りヨーグルトのベイクドチーズ風ケーキになります」

「おお!」

「美味そうじゃの~」

「匂いで分かりますわ! 間違いなく美味しいですわ!! パクパクですわ!!」

「なるほど……あれはチーズの代わりだったのか」


 というわけでケーキをお出しした時の、それぞれの反応がこちらになります。

 そういや、ラベンドラさんには水切りヨーグルトの用途を説明してなかったんだっけ?

 でも作り方は見てたよね?

 ……そもそも、元のチーズケーキを知らなきゃ代用とは思わないか。


「これはチーズケーキではないのか?」

「チーズの代わりに水切りヨーグルトを使ってます」

「それはもちろん美味いんじゃな?」

「ですよ。チーズ程重たくないので、さっぱり食べられると思います」


 論ずるよりも食うが易し。

 黙って食うがよい。


「あ、ほんとだ。思ったよりあっさりしてる」


 ほら、姉貴を見習いなよ。

 俺に言われるまでもなく勝手に食べ始めてるぞ?


「ふむ!! これは言われなければチーズの一種と勘違いしてしまうかも知れない」

「でも、コクや味はチーズに劣りませんわよ!?」

「サッパリあっさりでチーズのような濃厚さや香りは多少かけはするが……」

「代用なんぞとんでもないわい! これはしっかり独立した一つのデザートじゃ!!」


 いや、そうだが?

 便宜上代用とは言ったけど、劣っているとは一言も言ってないぞ?

 

「デザートワインの甘みが、焼きたてのケーキの香ばしさや水切りヨーグルトの酸味と溶け合うようだ」

「チーズで無くても合うな!」

「やっぱりデザートワインと言ったらこれですわ! これだけあれば勝ちですわ!!」

「割と真面目にこれが代用では勿体ないぞい。カケル、この作り方をラベンドラに!」


 んで、ガブロさんが水切りヨーグルトにドはまりした、と。

 でも本人が覚えようとしてるんじゃなくて、ラベンドラさんに押し付けてるのがなぁ……。

 まぁ、食べ物関係をラベンドラさんに完全に任せてるんだろうけども。

 ま、レシピは……と言うか作り方は教えますよ。

 文字通り水切りするだけだし。


「底に敷いたビスケットもいいアクセントになっている」

「たまに来るザクザク感が嬉しいし美味しい」

「その後にデザートワインをシバくと最高ですの!!」

「ケーキ自体の完成度も高いのぅ」

「お代わりない?」


 ちなみにリリウムさんについては絶対に触れない。

 どうせ翻訳魔法さんがまた適当に翻訳したんだろうし……。

 大丈夫よね? 触れなかったらどんどんエスカレートするお笑い芸人のネタパターンじゃないよね?


「あるわけないだろ」

「えー!」

「えー! じゃない」


 あと姉貴はシレっとおかわり要求すんな。

 作ればあるよ? 作れば。

 また水切りヨーグルト作る所からだけど。

 なんならヨーグルトを買うところからだけど。


「ちぇっ」

「拗ねるな。あと俺の皿を持って行こうとするな」


 バレてるからな?

 弟からなんでも持って行こうとするんじゃないよ全く……。


「じゃあ早く食べればいいじゃんかー」

「ゆっくり食べると姉貴に見せつけられるし」

「性格悪いぞー」

「黙って持って行こうとする姉貴に言われたくない」


 なんてやり取りを姉貴としてたら四人からすっごい微笑ましい目で見られてた。

 何? 何?


「姉弟のやり取りはいいですわねぇ」

「私に兄弟は居ないからな。新鮮なやり取りに思う」

「俺は兄が居るが歳が離れているからな。何なら、もうしばらく会っていない……どこで何をしているのか」

「わしは弟じゃが、すっかり独り立ちしとるしのぅ」


 ……ちょっと待ってガブロさん。

 俺も姉貴も独り立ちしてるよ?

 どっちが独り立ち出来てないように映ってるの!?


「ふぅ。……デザートワインの甘さが体に沁みますわぁ」


 そんで、お帰りなさいリリウムさんの口調。

 某食いしん坊ミーム化した時はもう戻ってこないかと思いましたよ。


「飲む手が止まりませんわ! グビグビですわ!!」


 う~ん……俺の中のお医者さんが黙って首を横に振ったな。

 しばらく経過観察、という事で。


「姉上、このデザートワインはまだあるのだな?」

「もち! みんなワイン好きだって聞いて、これでもかと持ち帰って来たよん」

「ありがたい話じゃ」

「相談なのだが、何本か我々の世界に持ち帰らせてもらえないだろうか?」

「どーぞどーぞ」

「恩に着る」


 ふぅ。

 これで神様もデザートワインに落ちるのか。

 貴腐ワインは作れるように調整したって言ってたし、マジでその内異世界でもデザートワインが出来るんだろうなぁ。

 そうなったら飲んでみたいんだけど、異世界からは持ち込めないしなぁ、ワイン。

 神様、その時だけでも許可貰えませんか?

 ……無理そうですかね?

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