第268話 異世界の神様さぁ……
ムサカを取り出し、焼き茄子を焼き始めたはいいけどさ。
もう待ちきれないと姉貴がごねたので先に食べ始める事に。
……もちろん待てと言ったよ?
でもさ、
「リリウムさん達ももう食べたいよね?」
って、四人の引き込みに動きやがってさ。
「どちらかと言えば……」
となるべく当たり障りが無さそうな返事を選んだリリウムさんの配慮も、
「ほら!!」
なんて、ほぼ言ったもん勝ちの押し付けを受けてね。
まぁ、焼き茄子ももうちょっと時間掛かるし、いいかって事で食事をすることになりました。
ちゃんとラベンドラさんに麻婆茄子も仕上げてもらったし、それぞれお皿に移して。
ムサカもちゃんと六等分してお皿に乗せましたよ。
ソースとか、なるべく水分を少なくしたからか、切ってお皿に乗せても崩れたりとかは無かったな。
「それじゃあ、一足先にかんぱ~~い!!」
「「乾杯!!」」
で、当然のようにワイン、と。
姉貴が海外でワインにドはまりしたらしくてね。
こんなに要るか? ってくらいに買って来たんだと。
しかも、荷物の関係で持って帰ってこれなかったやつは、時間差で届くようにこの家に送ったとかなんとか。
いやまぁ、ワインはどれだけあっても消化には困らないけどさぁ。
――そう言えば、
「今思い出したんですけど、各種果実酒は神様受けはどうだったんです?」
茄子の揚げびたしを口に含む直前に聞いちゃったもんだから、ラベンドラさん、お預け喰らったみたいになっちゃってる。
申し訳ない。
「これはこれで美味いという評価だったが、やはりワインの方が食いつきが良かった」
「あ、そうなんですか」
ちょっと残念。
結構自信あったんだけどな。果実酒。
「ワイン以外で全量無くなるなど今までは無かった。だが、果実酒は一滴残らず持って行かれたからな」
「きっと、ワイン以外は認めたくないけれど、それはそれとして美味しかったのだと思いますわ」
「わしらみたく酒なら何でもいいっちゅーわけにもいかんのじゃろ。神にはコレと決められたものがあるわい」
なんと言うか、神様なのに不自由してそうだな。
「そう言えば、デザートワインをすこぶる欲しがっていたな」
「貴腐ワインを作るためにブドウに影響する呪いの範囲を変更するとか伝わってきましたわ」
「戻ったら酒造ギルドに貴腐ワインのレシピを持ち込む。農業ギルドとの共同で、その内こちらの世界でも貴腐ワインが飲めるようになるかもしれん」
「ほぼ世界の理が変化したようなもんじゃ。ワインを飲むためだけにの」
ぜんっぜん不自由してそうじゃないな。
というか、マジで何でもありか神様。
でもなんで呪いなんだろ?
「やっぱ揚げびたし美味しい。日本人でよかった」
「表面はやや固め、けれど、中のトロリとした食感と、しっかりと吸ったお出汁がジュワッと溢れてくるのがたまりませんわ」
「風味も良く、長く残らないさっぱりとした味だ。無論白が合う」
「一度揚げる事でこの食感を出しているのか。……勉強になる」
「美味けりゃええわい!」
まぁ、そんな俺の疑問はさておいて、茄子の揚げびたし、大好評です。
ちなみに居酒屋とかのお通しで出されると嬉しいレシピトップ5に入ってます(俺調べ)。
「ちなみになんでブドウに呪いをかけるんです?」
「? 貴腐ワインを作るには菌を付着させるのだろう?」
いや、こいつ何言ってんだって顔されても……。
呪いと菌の接点を知りたいんですけど……。
「菌って、病気の原因とかになるものですよ?」
例外はあるけどね。
納豆菌とかビフィズス菌とか。
「じゃから、それが呪いなんじゃろうが」
「……えっ?」
いや知らんが?
どゆこと?
異世界では病気=呪いなの?
何世紀前の価値観だそれ。
「体調を崩すという事は、食べた魔物が自身の身体に呪いを刻んでいたという事だ」
「植物や魚介たちは特にこの傾向が強いですわね。死んで食べられるくらいならと、最後の抵抗で我が身に呪いを刻みますの」
「それらを解呪せずに食すと体調に異常をきたす。これが病気っちゅーことじゃ」
価値観とかじゃなくマジもんの呪いでしたわ。
というかそうか、魔法がある世界だからってのもありそうだな。
「……ちなみに、今まで持って来てもらった食材たちは――」
「無論、解呪済みじゃ」
良かった……。
知らず知らずに呪いを受けてたらどうしようかと。
……んでも体調不良とかは今のところ無いし、何なら体調面はすこぶる健康だし……。
「多少身体面にバフをかけておいて良かったですわ」
「え? 今なんて?」
なんか今、ボソッとリリウムさんが言ったような気がするけど、よく聞き取れなかった。
「麻婆茄子、赤も白もどっちも合うわよ?」
「なんだと!?」
「試さねば!!」
なんて俺の思いは、姉貴の一言でかき消されましたわ。
ま、いいか。
……ん~。程よい辛みとうま味。
茄子から出るたっぷりのうま味の汁が、いい感じにひき肉や辛みとマッチしますわ。
「茄子を食べた時は白。それ以外は赤じゃな」
「赤は旨味を膨らませながら広げ、白は爽やかでサッパリとした感じで余韻を残す」
「どちらも美味しく、甲乙つけがたいですわね」
「そしてワインだけじゃなく白米にも合う!」
「ラベンドラさんの味付けでしょ? 完璧じゃん」
姉貴の言う通り、味付けはラベンドラさんに任せたけどさ。
やはり俺の目に狂いはなかった。
しっかり美味しい分量を見極めてくれていたよ。
「一度このような料理を食べたことがあったからな。それを参考にしたまでだ」
麻婆豆腐かな?
でもあの時は激辛だったはずだけど……。
と、ここで焼き茄子の出来上がりを告げるオーブンの音。
というわけで俺は焼き茄子の仕上げをしてきますわね~。
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