第195話 唐揚げにハズレ無し
うっめぇ……。
ニラペースト……ちょっと今までこれ使って食べなかったのを後悔するくらいにはうめぇ……。
いやさ、生のニラだからもちろんあのツンとくる匂いはするし、刺激もある。
でも、そのパンチ力って言うの? それらが大体ニンニクから一回りくらい大人しくなってるんだよな。
一瞬香る青臭さ? みたいなのは強烈に鼻に抜けはするんだけど、そのおかげでワイバーンの脂もサッパリと感じられるんだよね。
元々あまり重くない脂なワイバーン肉だけど、よりサッパリするというか。
あと、甘さもかなり強く感じられるな。
脂が甘くて美味い。マジで珍しい体験してるわ。
「米が本当に美味い」
おかわりが出来上がるまでの間、漬物をかじり、米を食べてみそ汁をすするエルフとドワーフ。
絵になるねぇ。
「ふと思ったのですけれど、私たちの世界の食材がこの世界のお米に合い過ぎません事?」
「というと?」
「明らかに私たちの世界のパンよりも、こちらの世界の米と合わせた方が美味しくありません?」
「言われてみると確かに……」
……そういや、異世界のパンって食べた事無いな。
こう、四人の反応から固くてボソボソしたパンってのをイメージしてるんだけど。
それらを食べると思ったら、そりゃあ米の方が大体合うよね? ってならんか?
「米自体が美味いんだ。その時点で我々の世界のパンとは一線を画す」
なんて言いながら、ヤンニョムチキンのおかわりを持って戻ってきたラベンドラさん。
俺も同意見だね。基本というか、土台の美味さがダンチなのよ。
だから、単純比較できるものじゃないけど、比較しちゃうと米の方に軍配が上がる感じ。
「なんとか主食の改善は出来ませんの?」
「今稲作自体をギルドが研究しているだろう? 時間の問題だと思うが」
「ちなみにカケル、この世界のパンはとてもしっとりしていた。何か特別な製法があるのか?」
行儀よくからあげをもごもごしてたら、マジャリスさんから急にバトンが。
待ってね。今口の中のニンニクペーストかけた唐揚げ飲み込んじゃうから。
……にしても、やはりニンニクってスゲーよ。
口に入れただけで一気に元気になるもん。
あの風味と刺激が、元気が出る素だって脳にインプットされてるんだろうな。
心なしか背筋が伸びた気がするもん。
「んー……と。米食が一般的だったから、水分の多い柔らかいパンが好まれるようになった……とは出てきましたけど」
調べて思ったんだけど、それこそパンの製法とか、企業の心臓みたいなもんじゃない?
そう簡単に出て来るもんじゃなかったなって。
「水分を多く、か」
「すぐ食べることを想定し、保存を度外視している、という事なのでしょうか?」
「言われてみると確かに、パンってすぐ食べるの前提みたいなところありますね」
ただ、その情報でもラベンドラさん達には有益だったみたい。
「後は、米粉パンなんてのもありますけど……」
で、その流れで軽く口にしたこの発言。
いつものグリンッ! って動きでみんなに見られた。
だから怖いっての。
「米をパンに?」
「出来るのですか?」
「出来るみたいですよ?」
いや、現に出来てるし、としか俺からは言えない。
米を入れるだけで出来るホームベーカリーとかもあるけど、じゃあ原理は? って聞かれたら分からんし。
粉にして捏ねて焼くんじゃない? 大体合ってるでしょ。
「新たな知見を得たな」
「米をパンにする発想は無かった」
「やはりこの世界の食に関する文化は目を見張るものがあるわい」
試すのかなぁ……試すんだろうなぁ。
これで異世界にご飯よりも米粉パンが普及したら笑う。
いや、むしろパンは今までも食べてたものなのだから、そっちの方が馴染みがあるか。
じゃあ、異世界だと米粉パンが流行る可能性が微レ存?
「やはり今回の唐揚げで一番美味しいのはこれですわね☆」
で、唐揚げに戻って来てリリウムさんからそう評価されたのはヤンニョムチキン。
まぁ、若者に大人気ですわよっと。
……リリウムさんは若者に分類していいよな? なんと言うか、分類しないと怖い気がする。
うん、分類しとこう。
「コクのある甘さとピリリとした刺激のタレ。美味しくない要素がない」
「そのタレも決して強すぎる事無く、肉の美味さを支えとるぞい」
ガブロさん、ごめんなさい。
それ、ワイバーン肉が異常なだけです。
基本的にヤンニョムタレの味の強さに勝てる鶏肉って思いつきません。
「私的にはこのニラペーストが気に入ったが」
と言いつつ、最後のニラペースト乗せ唐揚げを平らげたラベンドラさん。
とても分かる。というか、今後肉系の料理をする時はニラペーストを用意しとこうって決める位には俺の中でも衝撃だった。
ここまで美味いか、って。
「もはや照り焼きは安心する味だしな」
なんて言いながら、最後の照り焼き唐揚げをパクリとマジャリスさん。
ヤンニョムと似たところにはあるんだけどね。
辛みとかを加味すると、どうしてもヤンニョムより控えめな味になっちゃう。
だからこそ、肉と調和した味というか、整った味になるんだけど。
あと、マヨとの相性いいよね照り焼き。
「この刺激の強さは、向こうじゃ希少品なんじゃろうなぁ」
とか言いつつガブロさんに食べられた最後のニンニクペースト乗せ。
まぁ、でしょうね。と。
思えば、前に持たせたガーリックトーストの時もはしゃいでたような気がする。
あれ? こっちで食べたんだっけか?
まぁいいか。
「ご馳走さまでしたわ」
「とても美味かった」
「持ち帰りはこれらのサンドになるのだろう?」
「ですです」
みんな満足気に完食し、お茶も飲み干し。
……残るは俺だけっと。
みんな食べるの早いんだよなぁ。
まぁ、言うて俺も残り最後の一切れだけど。
というわけで残ったヤンニョムチキンを一口で頬張り、ご馳走様。
たまに歯に潰れるゴマの風味もいいよね、ヤンニョムチキン。
大変美味しゅうございました。
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