第177話 作ってワクワク

 まずはタレから作っていきましょ。

 日本料理最頻出調味料の酒、醤油、みりんをフライパンに入れ、そこにニンニクと刻んだねぎ、スライスした生姜を入れて火にかける。

 そこに黒糖とはちみつを入れ、完成っと。

 ちょっとだけ味見。

 ……うん、美味い。

 やや甘めだけど全然美味い。

 何なら、このタレをタマゴかけごはんにかけて食いたいレベル。


「じゃ、早速串に刺していきますか」


 タレも出来たのでここからは串刺しタイム。

 細長く切った皮を折りたたみながら串に刺し。

 皮を刺すのに飽きたらもも肉みたいなところを串刺しまして。

 それに飽きたらねぎまよろしくもも肉的部分とねぎを交互に刺し。

 それすらも飽きたら軟骨へと移行……。

 むぅ……全然飽きる。


「動画でも見よう」


 飽きるなら、動画でも見よう、ホトトギス。

 というわけでながら作業で串刺しを続行。

 結果……、


「うん、程よく集中してないと危ないねこれ」


 何度か手を刺しちゃったよ。

 あれだ、串打ち三年とか言われるし、やっぱり難しいんだな。

 ……あれ? 串打ち三年はうなぎだっけ?

 まぁいいや。


「適当な動画垂れ流しつつやるかぁ……」


 というわけで、串刺しに七割、動画に三割の意識で続行。

 この後つくねも作らなきゃだし、さらにはデザートの準備もある。

 やること多くて楽しくなっちゃうわ。これだから料理はやめられねぇんだ。



「つっかれた……」


 焼き鳥の準備にかかった時間……約二時間。

 手が……手がぁ……。

 だがまだだ、まだ終わらんよ。

 ここからつくねの準備ですわよ……。


「えぇっと、まずはミンチ状にするっと」


 もも肉的部分を包丁で叩き、ついでに軟骨部分も一緒に叩きまして。

 店売りよりはだいぶ粗いミンチ状になったけど、これでよし。

 ここに塩コショウを振って捏ねまして。

 ここで登場! さけるチーズ!!

 美味いよね。俺大好き!

 こいつを半分に切り、それを先に串に刺しまして。

 それを包む様に、つくねを纏わせたら準備完了。

 これを一人二本計算で計十本作りましたっと。

 さけるチーズを五個買ってく俺を、レジの店員さんはどう思ったんだろうな?

 何とも思わんか。


「んじゃあこいつを軽く蒸し焼きっと」


 つくねを焼くのはあくまで焦げ目をつける仕上げの工程。

 加熱はこうして蒸し焼きにすることで行うんだって。

 初めて知ったわ。


「蒸しあがったらとりあえずは……」


 ゆっくり出来るな。

 そう思っていた時期が僕にもありました。

 デザート作ってねぇ。

 というわけで急ぎデザートを作ることに。


「だいぶ減ったんだよな……」


 卵の中を覗き込むと、もう卵黄が五個しかないし。

 でも、三分の一くらいはまだ卵白があるんだよなぁ……。


「よし、マカロン作ろう」


 卵白という事はメレンゲ。

 メレンゲを使うデザートと言えばそう! マカロンでしょう。

 間に挟むクリームはもちろんカスタード。

 店売りみたく種類は作らない。

 プレーンなマカロンにカスタードクリーム挟んだ奴。それオンリー。

 というわけでまずはメレンゲを作る。

 いわゆるいつもの。


「ん~で? お次は?」


 ちなみにもちろんマカロンも作った事無いので、初心者でも失敗しないと銘打たれたレシピを参照。

 それによると、上白糖じゃなくグラニュー糖を使って作るとのこと。

 それと卵白で角が立つまで混ぜまして。

 アーモンドパウダーと粉糖をふるいにかけた奴を三回に分けて入れては混ぜ、入れては混ぜ。

 つやが出てくるまで混ぜたら、クッキングシートに絞り出す、と。

 買ってよかった絞り袋。デザート作る時に八面六臂の大活躍ですわ。

 ……洗うの大変だけど。


「このまま乾燥するまで待機、か」


 一時間前後も時間空くのか……。

 残ったデカクカタイタマゴの使い道でも探しとくか。

 卵、料理、っと。

 ――あ、カルボナーラ!

 確かに! 絶対美味しいやつじゃん!? なんで思いつかなかったんだ!?

 卵黄は使い切れそうだし、残りは卵白か。

 ……スフレチーズケーキか。

 なるほど?

 美味しそうだな……。

 次のデザートはこれにするか。


「材料とケーキの型さえあれば割と混ぜるだけだな……」


 レシピと必要な材料などを確認。 

 まぁ、作れない程じゃないし、これにすっべ。


「乾燥の具合はどうかな~?」


 レシピには、触っても指にくっつかない程度ってあったっけ。

 というわけでマカロンツンツン男になりまして。


「大丈夫っぽい」


 指にもつかなかったことだし、170℃に予熱しておいたオーブンの中へ行ってこい。

 三分ほど焼きましたら温度を140℃に下げて十分ほど焼きますわぞ~。

 様子を見ながらとか書いてあるけど、どうなったらヤバいのか知らんし。

 ま、焦げなきゃいいでしょの精神。

 焼いてる間にカスタードクリームも作りまして。

 焼き上がったものがこちらになります。


「めちゃめちゃいい匂いだ」


 こう、焼きたてのお菓子とか、焼きたてのパンの匂いからしか摂取出来ない栄養素ってあるよね。

 あの香ばしい匂いたまんねぇわ。


「じゃあ冷えるまで待って、カスタードクリームを挟みますか」


 俺はガブロさんやラベンドラさんじゃないからな。

 焼き上がりたてのお菓子を素手で触れるほど手の強度というか、熱耐性は高くないんだ。

 というわけでせっせとクリームを塗り、砕き済みのナッツ類を散りばめまして。

 ドッキングする作業を繰り返し――出来たマカロン総数五個!

 え? 少なくないかって?

 そりゃあ――一つがハンバーガーサイズだもの。

 こういう頭悪いような大きさのものなんて、自作する以外で出来ないしね。

 遊び心って奴よ。

 出来上がったマカロンは冷蔵庫に隠し、後は四人が来るまで休憩!!

 何だかんだ、過去一大変な準備だったかもしれない。

 主に串打ちが。


「って、串打ちから四人にやらせればよかったじゃんか……」


 で、人をダメにするソファーに飛び込んでから思いつくんだ。

 俺より手先が器用なガブロさんや、料理上手なラベンドラさん達に任せればよかったんだって。

 ……次からそうしよう。

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