第146話 みんなで囲むお鍋

 すっかり温かくなってきましたわねぇ……。

 そろそろ鍋って感じでもなくなってきちゃうし、今夜は鍋にするか。

 実はあのニンテイタコカイナを貰った時に試してみたい事があったんだよね。

 というわけで諸々の買い物をして……帰宅!



 というわけで、鍋を作ります。

 いやぁ、今までも鍋に合いそうな食材はあったし、何なら鍋にしたかった日もあるんだけどさぁ。

 あの人たちが、同じ鍋で食事をするのをヨシとしなかったらどうしようと思ってたわけよ。

 でも、今回作る鍋はそこをクリアしてるんだよなぁ!

 というわけで本日作る料理は『おでん』!!

 鍋と言ったら……てわけじゃないけど、寒い日にはおでんって人もいる筈だし。

 一応調べとこう、おでんは鍋料理ですよね……?

 ――嘘やろ? 煮物の一種って書いてあるんだけど……。

 いやでも、鍋料理にも分類されるってあるわ。

 やはり間違えてなかったんだな、ヨシ!

 それじゃあ早速調理に入っていくわぞ~。


「まずは時間のかかる卵から」


 というわけでまずは茹で卵から作っていく。

 一人4個もあれば十分でしょって事で、デカい鍋にて一挙二十個のゆで卵を茹でまして。

 出来上がるまでに、こんにゃくを塩揉みして臭み抜き。

 大根は皮を剥いてぶ厚めの輪切り。

 そして、買って来た長めの竹串にそれらを突き刺していく。

 はんぺん、かまぼこ、ちくわとかの練り物も同様。

 牛筋は最初から下処理されて串に刺さったものを買って来てるから特に何かする必要もない。

 そう、これこそが鍋を作ることに踏み切ったアイデア。

 その名も――串おでんなり!!

 あらゆる具材を串に刺すことで鍋に箸を入れる必要をなくし、一つの鍋をつつくという抵抗感を払拭。

 もしかして俺天才か? 特許でも取ろうかしら。


「餅巾着は二個くらい刺しとくか」


 で、串が余り過ぎる材料は臨機応変に個数を変更。

 そしてそして、たびたびSNSで話題になるあの問題。

 ズバリ、おでんで米が食えるのか問題。

 俺はこの問題に対する完璧な解答を手に入れている。

 それは――、


「ロールキャベツっと」


 米が食える具材をぶち込む。

 以上、QED。

 というわけで既に作られているロールキャベツを串に刺し。

 さらに、某北海道のプロ野球チームは食べ放題と言われるあらびきのソーセージも串刺しに。

 ソーセージとロールキャベツが入ってりゃあ米が食えないとか泣き言いう日本男児もおらんやろ。

 忘れずにニンテイタコカイナも串刺しにするんだけど、こいつはぬめり取りからの下茹でまでするか。

 串の長さに合わせて切り揃えて、下茹でして串刺しっと。

 あとは好みでがんもどきと厚揚げも投入。

 具沢山になりましたわね。


「そろそろかな」


 丁度ゆで卵も茹で上がりまして。

 お玉でボウルに掬い、水にさらして殻を剥きやすくし。

 剥いては串に刺し、剥いては串に刺しを繰り返す。

 で、そいつらを鍋にぶち込んだら具材の準備の完成。

 あとはおでん用の粉末だしを容量通りに水と共に入れたら、翔式チョイ足しで薄口しょうゆを軽く回し入れまして。

 あとは弱火でじ~っくり煮ていきますわぞ~。

 はぁ……いい匂いが過ぎる。



「お邪魔しますわ」


 というわけで四人の登場。

 ただ皆さん、怖いくらい笑顔ですわよ?

 どうなさいまして?


「む、いい匂いだ、美味い」


 なんて疑問より前になんだおらマジャリスぅ!!

 お前とうとう匂いに美味いとか言い出してんじゃねぇよおぉぉん!!?

 マジで白米だけ渡すぞこの野郎。


「確かに、いい匂いじゃわい」

「……という事は?」

「あ、はい。出来てます」


 流石におでんをみんなが来てから用意してたんじゃ時間が掛かっちゃうからさ。

 こうなるとは思ったけど俺だけで作ったよ?

 ちなみにラベンドラさんは膝から崩れ落ちて地面に突っ伏してる。

 うん、ゴメン。こうなるとは思わなかった。


「ちなみに本日の料理はどのような料理ですの?」

「はい。おでんと言って、色んな具材を一つの鍋で煮込んだ料理になります」


 そう説明したら、床に突っ伏してたラベンドラさんが一瞬で立ち上がり。


「色んな具材とは?」


 だってさ。


「えぇと、野菜と、肉と、魚のすり身を加工したやつとか、あと、貰った食材とか」

「結構種類が入ってるんですのね」

「ごちゃごちゃした料理にならんか?」

「ガブロ、口を慎め。カケルの料理だぞ?」

「まぁ、見て貰った方が早いですよ」


 という事で、百聞は一見に如かず。

 みんなの前におでんを召喚!


「む、串に具材が刺さっているのか」

「色んな具材を煮込んだ、という事でカレーなどの料理を想像しましたけど……」

「具材が結構そのまま入っているんだな」

「このつゆの味を見たい」


 と、マジャリスさんが言いだしたら、他の三人もそれに頷き。

 小皿に、おでんのつゆを少し掬って四人に手渡してみる。

 すると……、


「あぁ……澄んだうま味だ」

「じんわり広がっていく、この世界特有の美味しさですわ」

「色々な食材からの出汁が出ているのか……」

「さ、酒が……酒が飲みたくなる味じゃあ……」


 だそうです。

 もうみんな、うま味を普通に感じてるのが笑うな。

 大体俺のせいだけど。


「というわけで、串を引き抜けば具材が刺さってるんで、好きなように食べちゃってください」


 ご飯と、抜いた具材を置くための皿。

 そして、おでんには欠かせないチューブのからしをテーブルに置き。

 俺は、四人と一緒に手を合わせるのだった。

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