第30話 食いしん坊達からの報告
さてさて~、ようやく仕事が終わりましたよ~っと。
長いよね、一週間て。
だが、その長い一週間も残すは休日だけ!
こんな嬉しい事があるだろうかっ!? いや! 無い!!
というわけで足取り軽く、帰宅中にスーパーに寄り。
今日と、明日のご飯に使う食材を購入。
ちなみに明日はエビフライの予定。
タマゴをたっぷり買ったので、タルタルソースを手作りしちゃいますわよっと。
だから休日に作りたかったんですね。
「……ビールも買っちゃうか」
今日のメニューを考えると飲みたいんだよね。
明日は休日だし。
……飲むと言っても缶ビール一本ですけど。
それ以上飲むとぶっ倒れる。
企業様には申し訳ないが、俺の場合『ほろよい』とか言うチューハイは詐欺なんよ。
俺が飲むと当たり前にほろ酔いを通り越すからな。
……俺のアルコール耐性の無さのせいです。
ついでに持ち帰り用の食材も忘れずに買い、帰宅。
――そういや、料理の代金とか言って指輪を貰ってたな。
……どこに売ればいいんだ? 質屋とかか?
明日午前中に持っていってみるか。
なんて思いながら、車を走らせて家に帰宅。
*
さぁ! やって参りましょうご機嫌クック!
本日の食材はこちら! バン! おっきなエビ(ダトオモワレルモノ)という事でね。
見てくださいよこの大きくてプリプリなエビ(略)。
まな板より二回りほども大きいんですよ!
というわけで今回は、
まずは成形。流石にそのままだとデカすぎるから普段のエビの大きさ――よりも欲張って一回り大きいサイズにカット。
それをボウルに入れ、ボウルが一杯になったら塩振って塩揉み。
あらかた揉んだら塩を洗い流しキッチンペーパーを敷いたテーブルの上へ。
そこで水分を奇麗に拭いていく。
あとは気が済むまでエビを追加し、繰り返し。
さぁここからが大事。
エビの身を言ったん素揚げしていきますわよ。
「今日で取り換えるかな」
油の汚れを確認し、今日まではきっと多分恐らく平気だろうという事で。
温度を上げ、エビを素揚げしていくぅ。
家庭によってはエビを揚げなかったり、衣つけて揚げる家庭もあるみたいだけど、俺の所は代々素揚げ派。
……代々って言っても俺と母親とばあちゃんだけだけども。
あと、思ったけど、背ワタ取る必要がないエビって滅茶苦茶楽だな。
全世界のエビがそうなってくれんやろか……。
「いい感じですわぞ~」
なんだろうね。エビチリってテンション上がらない?
俺だけ? 謎テンションで謎口調になってるんだけど。
……作ってて思ったけどエビマヨも食いたい。
エビマヨ用にもうちょっとエビ揚げよう。
大丈夫!! 先っちょ!! 先っちょだけだから!!
というわけでエビチリもエビマヨも下ごしらえ完成。
下ごしらえと言うか、ほぼほぼ全行程完成まである。
何故なら今回もズルをするからなわけで。
はよ四人が来ないかなぁ……。
*
「お邪魔しますわ」
というわけで四人が登場。
ようきんしゃったねぇ。
「? 皆さん何かいいことありました?」
こっちに転移してきたばかりの四人の顔が、物凄く嬉しそうなんだよな。
何かあったんだろうか?
「そうなんじゃ! 聞いてくれるか!?」
「どうやら我らは『OP』枠から抜け出せそうなんだ」
「あ、そうなんですか? おめでとうございます」
『OP』枠ってアレだよな? 素行不良とかが原因でランクが上がらない冒険者達の事だよな?
それから抜けるって事は、素行とかの改善が確認出来たと認められるって事だよな?
おめでたい事でいいんだよね?
「まだ抜け出せるか決まったわけじゃない。『OP』枠脱却の依頼をいくつかこなさなければ、今のままだ」
「そうですわ。なので次からの依頼は気合を入れて臨みますわよ?」
「分かっとるわい」
「任せろ」
おお。いつになく気合入ってるな。
特にガブロさんが。
「それで? 今日の料理は?」
「エビを素揚げしたものにそれぞれソースを絡めたものです。エビはもう揚げているので、後はソースを絡めるだけですね」
ふっふっふ。
アイテム選択。突き付けるっと。
喰らえっ!!
「……これは?」
「今回も面倒だったので既に完成されたソースを使います。昨日食べてもらったスイートチリソースあったじゃないですか?」
「あれ滅茶苦茶美味かったぞい!!」
「あの甘さが癖になって後を引きましたわよね」
「マヨネーズとスイートチリソースを混ぜることを考え付いたときは自分の天才さを確信したな」
「ピリリと来る刺激がたまらなかった」
好評だったようですねぇ! スイートチリソース!
だが!! 今回のソースは!!
「そのスイートチリソースの甘くないバージョンとでも思っていただけると良いかと」
ただのチリソースなんだよなぁ!!
まぁ、ただのって言うけどぶっちゃけ俺の中では別物とすら思っているが。
美味しさのベクトル違わない? 二つを比べると。
「ほう!!」
「俄然楽しみになってきたわい!!」
「ついでにマヨネーズをベースにしたソースも使うので、お楽しみに」
「ひゃっほう!! もう待ちきれんわい!! 早く!!」
ガブロさん、あんたがいくつかは知らんがもういい大人なんでしょう?
そんな子供みたいにはしゃがないの。
……リリウムさんも、頬赤らめてソワソワしないように。
ラベンドラさんを見習いなさいな。
こんなに静かに――エビチリソースのパッケージを目ぇかっ開いて熟読してるじゃないですか。
……ダメだこのエルフとドワーフ。早く何とかしないと。
マジャリスさんだけかよ、落ち着いてるの。
グゥゥゥゥゥ~~~。
ん? この腹の音は……?
「カケル、早く作れ」
マジャリスさんかよ。
全然落ち着いてなかったわ。
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