第10話 闇の城と愛の決意

試練の山を越えたサクラたちは、ノクターンの本拠地である「闇の城」に近づいていた。その城は黒い霧に包まれ、不気味な雰囲気が漂っていた。


「これがノクターンの本拠地…予想以上に不気味ね。」サクラがつぶやいた。


「でも、私たちの力を信じて進もう。ここまで来たんだから、最後までやり遂げよう。」エミリオが励ました。


「そうだね。みんな、気をつけて進もう。」アリスが剣を握りしめた。


「サクラ、ちょっといい?」レオンが近づいてきた。


「どうしたの、レオン?」サクラが尋ねた。


「これまでの戦いで、君に助けられてばかりだった。でも、君のために何かしてあげたいんだ。」レオンは真剣な表情で言った。


「ありがとう、レオン。その気持ちだけで十分よ。」サクラは微笑んだ。


「いや、僕は本気なんだ。だから、これを受け取ってほしい。」レオンは小さな箱を取り出し、中には美しいネックレスが入っていた。


「これは…」サクラは驚きながらネックレスを見つめた。


「君に似合うと思って。僕の気持ちの一部だと思って受け取ってほしい。」レオンが照れながら言った。


「ありがとう、レオン。とても嬉しいわ。」サクラはネックレスを受け取り、レオンの気持ちを受け止めた。


***


城の中に入ると、サクラたちは複雑な迷路のような構造に戸惑った。進むたびに異なる廊下や部屋が現れ、次第に精神的にも疲弊していった。


「これ、本当に進めるのかしら?」ルナが不安げに言った。


「大丈夫よ、ルナ。私たちの絆があれば、どんな困難も乗り越えられるわ。」サクラが励ました。


その時、エミリオが足を止め、「ちょっと休憩しないか?このまま進むとみんなが疲れちゃうよ。」と言った。


「そうね、少し休みましょう。」サクラが同意した。


***


休憩中、サクラとエミリオは城の中庭に座って話し始めた。エミリオはサクラの新しいネックレスに気づき、「それ、レオンからの贈り物?」と尋ねた。


「そうよ。彼が気持ちを込めてくれたの。」サクラが答えた。


「いいな。君にとって特別な人なんだね。」エミリオが少し寂しげに言った。


「エミリオ、誤解しないで。君も私にとって特別な存在よ。」サクラが真剣な表情で言った。


「ありがとう、サクラ。でも、君の幸せを願ってる。どんな結果になっても、君の味方だから。」エミリオは微笑んだ。


「本当にありがとう、エミリオ。君の支えがあって、私はここまで来られたの。」サクラは感謝の気持ちを込めて言った。


***


休憩を終えたサクラたちは、再び城の奥へと進んでいった。途中、ノクターンの手下たちが次々と襲いかかってきたが、サクラたちは見事な連携でこれを撃退していった。


「ここからが本番ね。みんな、気を引き締めて。」サクラが声をかけた。


やがて、サクラたちはノクターンの居室にたどり着いた。扉を開けると、そこにはダークロード・ノクターンが待ち構えていた。


「ようやく来たか、勇者たちよ。」ノクターンが冷笑を浮かべた。


「ノクターン、これで終わりにするわ。私たちはあなたを倒すためにここに来た!」サクラが叫んだ。


「面白い。その自信、どれほどのものか見せてもらおう。」ノクターンは闇の力を解き放ち、サクラたちに向かって攻撃を仕掛けた。


サクラたちは全力でノクターンに立ち向かった。ルナは「アイスバインド!」と叫び、氷の鎖でノクターンの動きを封じた。


「エミリオ、今よ!」サクラが叫んだ。


「了解、トリプルショット!」エミリオが矢を放ち、ノクターンに命中させた。


「アリス、突撃!」レオンが指示を出した。


「フレイムストライク!」アリスが剣を振り下ろし、ノクターンに大きなダメージを与えた。


「サクラ、決めて!」エミリオが声をかけた。


サクラはアストレアを操り、ノクターンに向かって突進した。「アストレア、全力で!」と叫びながら、アストレアの拳を振り下ろした。


その瞬間、ノクターンは膝をつき、苦しそうに息を吐いた。「まさか…ここまで力を発揮するとは…」


サクラはノクターンに近づき、「これで終わりよ、ノクターン。あなたの闇の支配はここで終わるの。」と静かに言った。


「ふん、勝者は常に一時のものだ。しかし、私の闇は消えない…」ノクターンは呟き、闇の力を使ってその場から姿を消した。


「逃げられたか…でも、彼の力は大きく削がれたわ。」サクラが息をつきながら言った。


「そうね。でも、これで本当に終わるとは思えないわ。」ルナが警戒を促した。


「その通りだ。まだ気を抜くわけにはいかない。」アリスが同意した。


***


その夜、サクラたちは城の一室で休息を取った。サクラは窓辺に立ち、遠くを見つめていた。


「サクラ、大丈夫?」レオンが近づいて尋ねた。


「うん、ちょっと考え事をしていただけ。」サクラが微笑んだ。


「僕たち、これからも一緒に戦い続けるよね?」レオンが不安げに尋ねた。


「もちろんよ。君たちがいる限り、私は戦い続けるわ。」サクラは力強く答えた。


「ありがとう、サクラ。君と一緒にいることが僕の誇りだ。」レオンはサクラの手を握った。


「私もよ、レオン。これからもずっと一緒に。」サクラは優しく微笑んだ。


こうして、サクラたちは新たな力と決意を胸に、ダークロード・ノクターンとの戦いを続けるために再び立ち上がった。彼らの物語はまだ始まったばかりで、これからも多くの挑戦と感動が待ち受けているのだった。


(続く)

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