氷結魔導士のはやすぎるいろいろ〈中編コンテスト版〉

ミコト楚良

1  むかしむかし

 銀針ムング・ズーの王は困っていた。

 ぐるぐる巻きの簀巻すまきにされ、滝つぼに落とされた。


「助けてくれ。助かるなら、なんでも言うことを聞く!」

 小心なことで有名な王は叫んだが、その願いを聞く者はいなかった。


 それで今、滝つぼに落とされた。大事なことなので二度書いた。



 ――ナンデモ?


 王の頭の中に誰かの声が響いた。



(なんでもじゃっ!)


 王も、どうやって答えたのか。



 ――デハ助ケヨウ。ソノ代ワリ、約束ヲ。





 そうして、銀針ムング・ズーの小心王は助かった。








銀針ムング・ズー年代記 第十三章より抜粋』

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