或る日の合コン!
崔 梨遙(再)
1話完結:800字
それは、僕が30代半ばだった頃。弾き語りをしていたら、同世代の女性2人組から何故か合コンのセッティングを頼まれた。2人の女性はスレンダーな亜子とぽっちゃりの理子。しつこく頼まれるので、仕方がなく、僕は知人の堀田さんを呼んで2対2の合コンをセッティングした。
開始早々、堀田さんの機嫌が悪かった。亜子と理子がお気に召さなかったらしい。盛り上がらない合コンだった。だが、放っておいても時間は経つ。やがて、1次会の飲み会は終わった。結局、亜子と理子がトークをして、女性陣だけの会話で盛り上がっていた。僕等男性陣は、ずっとおとなしかった。
店を出ると、堀田さんが、
「悪酔いした」
と言いながら路地裏の側溝に吐き出した。僕は、“合コンはここまでやなぁ”と思った。
だが、
「カラオケ行こうやー!」
と言いながら、吐いている堀田さんの腕を引っ張る亜子を見て、僕は引いた。
「アカンわ、堀田さんがダウンしたから今日はここまでや、お疲れ様!」
僕は亜子と理子を帰らせた。堀田さんは終始おもしろくなさそうだった。まあ、亜子と理子の女子力では、盛り上がらなくても仕方がないと思った。こんなことを言うと女性から嫌われそうだが、言おう、亜子も理子も、顔は残念な感じだったのだ。しかも、吐いてる人間の腕を引っ張って遊びに行こうとするところを見ると、性格にも難があるなぁと思った。吐いてる人間を見て心配しないのか?
実は、合コンの打ち合わせで、僕は事前に亜子とは会っていた。その時、僕は亜子から誘われたのだが、僕にしては珍しく誘いに乗らなかった。亜子は、よほど男がほしかったようだ。
で、吐いていた堀田さんだが、亜子と理子の姿が消えたら、先程まで吐いていたのが嘘のようにシッカリと立ち上がった。
「あれ? 吐いて苦しんでたんじゃ……?」
「ああ、俺、吐こうと思ったらいつでも吐けるねん。これであの2人は帰ったな。ほな、飲み直そうか?」
それはそれで、僕は引いた。
或る日の合コン! 崔 梨遙(再) @sairiyousai
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