49歳で無職になりました

いよ

第1話 人生が既視感で溢れている

20XY年、僕が大学生だった頃から早30年が過ぎた。そして僕は今年の秋で50歳を迎える。何ていうか人生の節目をもうすぐ迎えるにあたって、僕は日々の生活でふと自分のこれからについて考える事が多くなった。僕はこれからどうなっていくんだろうか。もうひょっとしたら50歳というのは、これから人生に期待する物もほとんど残っていないのではないか。そんな事を考えながら僕はこの毎日を過ごしている。


20XY年3月、僕の勤めている会社では先日、新人時代からもう20年以上お世話になっている僕の上司の退職パーティーが開かれた。別にパーティーってほど大したものでも無かったが、長い間お世話になった人が僕の周りから居なくなるのはこの歳になってもやはり寂しさを感じた。今まで僕は会社の退職式には数えられないほど参加してきたし、お世話になった上司を会社から見送るなんて事はもう何十回と経験してきた。その度に僕は自分の周りから大切な人が急に居なくなてしまう喪失感みたいなものを少しは感じていた。しかし今回の退職式に参加して感じたものは、今までの物とは少しばかり異なっていたと思う。僕が今回の会社の退職式に参加して感じたものは先ほど言ったような寂しさとは違う、何て言うかこれからの僕自身の人生への一抹の不安感だった。今までの僕は何て言うかまだ歳もそこまで経っていなかったし、何ていうかこれからの自分の人生への少しばかりの期待感を抱いていた。しかし僕は今回の退職式で、自分とほとんど歳が変わらない人が会社を辞めていったせいで、ふと自分自身のサラリーマン生活がもうすぐ終わる事を無意識の内に悟ってしまったのだ。何かおじさんのやけにリアリティのある苦悩をこんな所でダラダラと話してしまって申し訳ないが、僕は自分のこれからの人生について期待感を持てなくなってしまたという事だ。50歳目前にもなって交際経験がほぼゼロで、勿論結婚もしていない独り身の僕には、何ていうかこれからの人生を少しだけ苦痛に感じ始めていた。

何ていうかここまでの話を聞いたら、唯々よく分からないおじさんが自己満でエッセイ風の何かを書いているだけに思えてくるかもしれない。しかし人生とは案外思いがけない出来事が、突然我が身に降り注いでくる事だってよくあるのだ。

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