プロローグ

 私の目の前には、スマホのない世界が広がっていた。

 その世界は、言葉では表現できないほど、残酷で、美しかった。

 

 奪われる側の人間から、奪う側にならないといけない。

 まるで犯罪者になった気分だ。ゾクゾクする。

 世界中の人々を魅了する画期的なデバイスを発明したのだから……。

 

 私はスマホに翻弄されていた。あの日々は、一体なんだったのだろうか?

 何者にもなれなかった。自分は支配されていた。

 時間は、戻らない。だから、今、この瞬間から動き出すんだ。

 世界は美しいはずなんだ。そう信じている。

 

 現代は、スマホに支配されていた——。

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