第2話 盛った睡眠薬(改稿)


私の名前は下村幸という。

苗字は元は橋本だった。

橋本幸から再婚してから下村幸になったのだ。


まあ名字が変わったとかただそれだけのどうでも良い話だ。

私の母親が再婚したから変わってしまっただけ。

それだけだ。


まあそんな事より私は今は復讐心に燃えている。

どういう復讐心かといえば。

簡単にいえばお姉ちゃんに対する、いや。

自らの姉に対しての復讐心だ。

気持ちの激高と言える。


あまりに絶望的でそしてあまりに非道すぎるクソ姉に復讐する。

勿論、物理的に痛めつけるとかそういうのは出来ない。

何故ならこの国の法を犯す事になる。

ならばどうするか。


それだったらじわじわ気が付かれない感じで革命を起こすしかない。

私はその事を考えながら自宅に帰って来る。

そして玄関を開けてからそのまま誰も居ない部屋に挨拶し部屋に戻る。

それから今は居ない姉の事を考えて復讐計画書を作る事にした。


私の大切な先輩を痛めつけたそれ相応の罰は受けてもらうつもりだ。

知り合いの薬局にて薬も買った。

最初は怪しいと思われたが説明したら何も言われなかった。

流石は植木さんの薬局だ。

私達の幼馴染だけある。


私は先輩が好きである。

だからこそその大好きな彼にこんな真似をしたヤツを簡単に許す訳にはいかない。

そう思いながら私は復讐計画書をボールペンで刻んでいった。


正直、筆圧が滅茶苦茶、強いが。

そんな事を言っている場合でもない。

頭の中は恨みだけだった。


私自身はこの汚れた家をそのまま出て行きたい気分だがその前に姉をこの家からゆっくり追いつめて追い出したい。

それから全ての話を進めて行こうと思う。

思いながら私は復讐計画書を片っ端から繊細に組み立てていく。

すると「ただいまー」と声がした。


今この場でバレる訳でも無いが私は計画書を鍵の開いたケースに仕舞いそれから鍵を掛けておいた。

ここは私の秘密の部屋だ。

鍵を掛ける事が出来るし...誰にも邪魔させない。

そう考えながら私は笑顔になって降りて行く。


「お姉ちゃん。お帰りなさい」

「うん。ただいま」


まあ何というか平然と幸せそうに帰って来やがってこのクソ女。

そう思いながらも私は薄ら目で目の前のビッチを見る。

茶色の髪の毛をした顔立ちの小さい女子。


目鼻立ちが整っている。

美人であるが。

というかそんなのはまあ今となってはどうだって良い。

そう思いながら姉を見ていると姉が私を見て「?」を浮かべた。


「どうしたの?まじまじと私を見て」

「うん?何でもないよ。お姉ちゃん」


これから何が起こるか楽しみだ。

私はコイツのジュースに睡眠薬を混ぜようかと思っている。

フェーズ1だ。


先ずは精神面を崩壊させる事にした。

私はあくまでお姉ちゃんを、幸奈を許す気は無い。

絶望を自ら招いた姉には。

これが仕舞いにお似合いだ。



「今日も大変だった?」

「私?私は...まあ大変だったよね。やっぱり部活がねぇ」

「そっか。部活動大変そうだもんね」

「そだねー」


部活が大変とか言っているが私は全て知っている。

この女が何をしているのか。

多分だがラブホで別の男とセックスでもしているのだろうけど。


まあ本当に部活かもしれない。

まあどっちでも良いが。

いずれにせよこう平然と居るのが気持ちが悪い。


「ねえ。お姉ちゃん。部活って何をしているの?」

「ああ。私の部活?茶道部だね」

「そっか。そうだったね」

「そうだね。今度お茶をたててあげるね」


ここまでが嘘なのか。

本当なのか分からないとしてこの女が嘘を吐いているとするなら。

相当なものだと思いながら私は姉を見る。

姉と思いたくは無いが。


「あ。そうだ。先輩とは良い関係のまま?」

「先輩。ああ。裕太郎?うん。とっても良い関係だよ」

「...そう」


私は目の前の幸奈の飲んでいる麦茶を見る。

さっき私が遅効性の睡眠薬を入れた。

15歳ぐらいから飲む睡眠薬が入っている。

まあ年齢とかどうでも良いけど。

姉がテスト関係で寝れないと嘘を言って買った。


何故睡眠薬かといえば。

正直、毒物を買うのは無理があった。

これも、試しに、と思って飲ませているのだ。

私はそう思いながら幸奈を見ていると幸奈は欠伸をした。


「それにしても部活が大変だったのか何だか眠たいなぁ」

「そう?じゃあ休んできたらどうかな。私が宅急便とか受け取るから。大丈夫だよー」


正直、心の中で笑いが止まらない。

が。

それを表に出すと一発で疑われる。


だから笑いを隠すのに必死だ。

かなり効いている様だ。

私は嘲笑うかの様に聞いてみる。


「...かなり眠そうだね」


すると幸奈は「そうだねぇ。何だか疲れているんだろうけど」と言いながらフラフラと足を揺らしながら「ちょっと寝てくるね」と上がって行く。

私はその様子にゆっくり気が付かれない様に笑みを浮かべて見送る。


睡眠薬は流石に第一類は買えなかった。

なので第二類の睡眠薬を少しだけ多めに混ぜたが。

効果抜群だった。

そりゃそうだろう。

お勉強か何かで疲れているだろうし。


まあどうでも良い。

正直、私が復讐計画を立てる上でこれは必要だ。

ここから発展させていこう。


因みに何を私が思ったか。

それは。


(彼女に睡眠薬を飲ませて生活リズムを徐々に崩壊させていく)


という事を考えてみたのだが。

まあそうは言っても毎日、睡眠薬を毎日飲ませると薬が残留するかもしれない。

ゆっくり混ぜていこう。


まあでも所詮バレたところで私が疑われるのは皆無だろう。

何故なら私がそんな事をする意味が分からないから。

やり過ぎたら「薬が~」とかでそりゃマズいだろうけど。

でもまあ半分あり得ない。


そんな幸奈だが成績優秀な化け物だ。

だがその成績優秀者も流石にこういう事をじわじわ毎日されると勉強に集中できなくなり成績も落ちるだろう。


全てが終わると思う。

まあでもこれぐらいの天罰があっても良いだろう。

私はそう思いながらポケットに入った睡眠薬を見る。


「私は絶対に許さないからねお姉ちゃん。覚悟して」


呟きながら私は静かに考える。

薬の適正量。

それから私は夕食にも睡眠薬を混ぜ込んでみた。

あらゆる食べ物に混ぜてみる。

毎日じゃなく1日1日の間隔ごとに。


そうしてお姉ちゃんのバランスは崩れていった。

何が起こったか?

朝、寝坊する様になったりしたのだ。

私は笑いが止まらなかった。


当然だが遅刻、早退は幸奈側に大ダメージが起こっていた。

部活も模範生だったけど転落すれば良いと思う。

私はそう思いながらけたけた笑いながら睡魔に襲われるお姉ちゃんを見ていた。

計画通りだ。

全てが狂ってしまえ。

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