第6話 自分を信じろ、心から表れたものは常に正しい

「自分を信じろ、心から表れたものは常に正しい…」


「今日はベストキッド?」


今日もかわいい陸が律儀に俺のセリフを拾ってくれる。


「おまえのその急に名言を言い出すの、格好いいと思ってるのか?中二くさいぞ?」


対面に座る残念メンの紫音がボヤく、べ、別に格好いいとか思ってないし…


「あはは、確かにそうだね!でも中二病といえば紫音もその気があると思うけど…」


「何をいうか陸よ!僕が中二病なわけないだろう?」


「喋り方からしてそうだよな、その喋り方格好いいと思ってるのか?」


さっき弄られたので言い返しておいた。


「ふっ、なんとでも言うがいい僕のこの知的な喋り方は凡人には理解し難いのだろう。」


「そのセリフめっちゃバカっぽいぞ?」


「なんだと!」


「あははは、まあまあ押さえて押さえて。」


いつも通りの昼下がりのいつも通りの会話

いつも通…


「おい、おまえそれ何を描いてるんだ?」


何やら紫音が自由帳に絵?のようなものを描いている。


「あっ、これゲルニカじゃない?」


「光希先輩だ…」


「「はぁーー??」」


「この前読んだ本に、美しいと思ったものをスケッチすると頭がよくなると書いてあったのでな。」


「こ、個性的な絵だね…キュビズム?」


気遣いの出来る子である陸がフォローを入れる。いや、それはさすがにピカソに失礼だと思うぞ。


「どうみても何回かみたら死ぬ類いの絵だろこんなの!」


「ふっ…ベクシンスキーは好きだぞ。」


「それでこれは何を持ってるの?精神注入棒?」


「そうだが?」


そうなのかよ!?いや、みっちゃん先輩だから然もありなんか…。


「女子高生が精神注入棒を持っているのに違和感を感じない俺達って…」


「確かにそうだね…」


「あれを持った光希先輩に追いかけ廻されたときは最高にスリリングだった。」


「おまえバカとメガネに加えてM属性もあったのか…キャラが渋滞してるぞ…」


確かにみっちゃん先輩とリアルデス鬼ごっこをしたときもこいつ一番運動神経いいくせに何回も捕まってたな。


「別にMではないが…好きな人に追いかけられるのは嬉しいものだろ?」


「紫音の好きってハッキリ言えるとこ格好いいよね!羨ましいなあ…」


「う、うらやましいって陸、す、好きな人でもいるのか!?」


「ふぁっ、え、!?ち、違うよ言葉の綾だよ!」


「そ、そう、なのか…よかった。危うくジョーカーになるところだった。」


「そんなことで闇落ちしないでよ!ストレートに気持ちを言えるのが格好いいなってことだよ!」


「紫音の場合は考えなしに口に出してしまうだけだと思うけどな。」


「ふっ…自分を信じて、心の中から表れたものが正しいのだろう?正しいことなのだから口に出せばいい。つまり僕の方が正しい」


「うるせーワーストキッド。」


                つづく

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