ミステリー・クラブ ~日常はミステリー~

じんせいRTA

プロローグ:『結成』

第1話:ミステリー・クラブの結成

「暇だ…暇だ…!」

皆が静かに本を読む中、俺は読んでいた本にしおりを挟まずに言った。


俺の名前は江崎洋一。高校一年生である。

俺が暇だとつぶやいている理由を今から説明しよう。


事の発端は4月11日。

「新しい部活動を作ろう」

と言い始めたのは旧友、丸井悦治だった。

「新しい部活…?」

「そう、題して、『ミステリー・クラブ』。まあ、まずは同好会からスタートするけどね。突然だけど、江崎、ミステリーは好きか?」

「まぁ、好きといえば好きだな」

「そういってくれてよかった、江崎。俺の作ろうとしている『ミステリー・クラブ』は、日常にある『謎』を解いていくんだよ」

「……は?」

「?言ったとおりだと思うけど」

「日常にある謎っていうのがよく分からないな。殺人事件でも起きたのか?」

「違う違う、お前、そういうミステリーしか読んだことないのか?」

「残念ながらそうだな」

「全く…俺が言っているのは日常に潜む『小さな謎』だよ。いつの間にか密室になっていた教室、とか、あり得ないところにワープしたスマホ、とか」

「ふーん。面白そうじゃないか、で、部員はどうやって集めるんだ」

「事前に結構な人数にこの同好会を紹介したんだよ。そしたら意外と部員が集まって、」

「何人ぐらい集まったんだ?同好会でも少なくとも4人以上必要だが」

「二人集まったよ」

「…えっと、それにお前が加わって3人だろ?……残り一人は?」

「お前だけど」

「えっ」

「えっ」

俺は吃驚した。

「なんで勝手に俺を入れてるんだ!?」

「そんなの知らないよ!お前ミステリー好きだって言ってただろう!?」

「現実のミステリーを解きたいとは言ってない!それに、俺にだって部活動を選ぶ権利があるはずだ!」

「そうはいってもさぁ、俺もう、創部届出しちゃったから。あと、おまえの入部届も」

「…は?」


俺は、その言葉の意味を理解するのに少々時間を要してしまった。



集まった二人の部員の自己紹介が始まった。

「神崎萌三です。よろしくお願いいたします」

一人目は神崎萌三という女。目は大きく、極端に言うと少女漫画の主人公のようだ。

俺はミステリー・クラブの部員について暇なので調査(際どいことも)していた。

…どうやら神崎は成績優秀らしい。ということしか調べることはできなかったが。

二人目は…

「ん、お前、ここ入ってたのか。今日は運が悪いな」

「お前…!」

こいつは、親友にして腐れ縁、イケメンではあるが性格が非常に悪い。ゆえに友人は俺と丸井ぐらいしかいない。名前を、鴛谷要という。

「次は俺の番だね!丸井悦治です!よろしく!」

こいつに関しては説明の余地もない。

「次は俺だな…」

俺は席から立ち上がった。

「江崎洋一。よろしく」

俺はかつてないほどシンプルな自己紹介をして、席に座った。


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