おさげと数式

菫野

おさげと数式

やはらかくを包みゐる青葉闇みぎての神秘十字もあをい


子宮とふ暗がりひとつ抱き来ぬ円周率を横切りながら


うちがはにひかり差すとき紫陽花とひとは傷めりしづ心なく


エコーなる神話の乙女まろまろとひかりのもとに筋腫晒しぬ


ターキッシュディライトを食むゆふぐれの 罪の甘さに息焼かれをり


プラス無限大とマイナス無限大つながつていた 永遠はあつた


百億の夜も日もパッサカリア聴く宝石喉につまらせたまま


わたくしの髪長ければオフェリアもゆたにたゆたに棲まはせたきを


すきとほる非婚ありけりときじくの空に指輪は投げられにけり


跳ねあがるスカート夜を産みながらおさげは長い数式を解く

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おさげと数式 菫野 @ayagonmail

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