クロスフェード

なべとびすこ

クロスフェード

半袖も長袖も間違っている気がする昼に続けるラリー


ラケットで風を切る音 早送りみたいに秋が流れていった


たぶんこの関係は永遠じゃないいつもより長く日記を書いた


透明の冬の空気を吸ってから白くなるまであたためて吐く


自販機にはお茶とコーヒーと水だけ子どものままじゃいられない場所


ほんとうは二礼二拍手一礼の自主練してから祈りたいのに


換毛期みたいに趣味を変えていく君はもうあの曲をハモれない


二月だけ短いことにまだ慣れない寝ずに果報を待つだけ待った


バス停の屋根は小さいから傘もさして 僕らは何に怯えてるんだろう


吊り革は簡単にちぎれないけれど暴れて君を振り回してる


途切れてる三角コーン 入ってもいいかもしれない芝生は濡れて


灰皿にさくらんぼの種吐き出して徐々に見えなくなるまでの時間


感情はたいてい燃えるゴミだろうエンドロールは上に流れる


エスカレーターは誰も乗せずに進んでる夢がなくても生きててほしい


マーチンの底すり減ってる たぶん君は君が思うより歩いてきたんだよ


傷跡をワッペンにして写真には新品だったころのセーター


楽なほうへ君は流れていっていいしぼんだ浮き輪が浮いてるうちに


離れるよ ヒューマンシップに則って 防音室に薄く雷鳴


金柑は皮ごと食べるのが良くてこの世界線で息をすること


僕が僕からはみ出す夜に来てほしい自分で買ったリュックを背負って

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