画用紙
勝利だギューちゃん
第1話
幼稚園の先生が、画用紙を配っていく。
園児にいきわたる。
「みんな、何でも好きなものを描きなさい」
笑顔で言う。
「何を描いたらいいですか?」
「何でもいいのよ。みんなの好きなものを描けば」
必ずあるやり取り。
「何でもいいというのなら、描いた作品に文句を言わないでほしい」
いつも思う。
「ただし常識の範囲内でね」
先生よ、その常識とはなんだ?
大人のあんたと、子供の俺たちでは、その常識は違う。
でも、描くものは決めてある。
「描いた人から、お外であそんでいいわよ」
先生は笑顔で言う。
なら描こう。
僕の好きなものを。
白い画用紙にには、無限の正解が広がっている。
僕は今、その世界の創造主だ。
「先生出来ました」
「もう、出来たの?」
「はい」
「見せてくれますが?」
僕は描き上げた絵を先生に見せる。
僕が描いたのは、ピンクの葉っぱの上に卵をふたつ。
卵の中に、眼玉をちょんちょん。
画用紙の上に3本の線。
「これは?」
「オバケのQ太郎」
画用紙 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu
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