歪み愛

海星

第1話 煙草

――――――――――20時。ベランダ。


「……あっ。」


麗美は僕の口から煙草をとりあげて自らの口にくわえた。


「あたしがあげた体汚さないでくれる?」

「出し主のお前はいいのか?」

「……偉そうに。」


「ゲホッ、ゲホッ、ゲホッ…」

「……」


麗美はほくそ笑みながら僕を見る。


「このクソ女!!」

「今まで居た?こんな女。」

「ゲホッ…いるわけねーだろ。こんな変態!」

「好きでしょ?」


麗美に煙草の煙を口移しされた。



「……」

「……」


麗美が僕の首に爪を立ててじっと僕を見る…。


「なに…。」

「渡したくないな…。あんたもいつかお嫁さんもらうんでしょ?」

「?…俺いくつかわかってんの?」

「32でしょ?」

「麗美を嫁に出来ねーなら嫁なんていらねぇ。」

「あたしはいいけど、あんたはいいの?」

「『孫の顔みたい』とか狂ったこと言うわけ?」

「許されるなら…」

「…孫みたい?」

「あんたとの子が欲しい。」

「…本気か?」

「あんたは?」

「俺は……。」

「ずっとあたしの子でいたい?」

「……。」


小さく頷いた。


「泣かないの。わかってるから。」

「子供欲しいならどっか行け。孫欲しいならどっかの女に産ませて押し付けてやるから。」

「要らない。あんたがいればいい。あたしが手塩にかけて育てたこの男…私好みの男…。誰にも渡したくない。」


「……っぁぁ」



僕の体は麗美でいっぱいだった。

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