飽和する

鈴乱

第1話

今日あった色々なことが頭を巡る。


切り替えスイッチは馬鹿になって、あらゆる情報をかき集めてくる。


その上、あの時、人に言われた言葉までリフレインする。


「思いやりを持って……」

「ひとりでやってるわけじゃないから……」


あぁ、分かってる。分かってるんだそんなこと。


でも、今までにたくさんのことがありすぎて、思いやりなんて失った。

自分は一人だって思い知らされたところなんだ。


出会ったばかりのあなたたちは知るはずがない。


他人同士、そんな他人の過去を知りたいと思う特異な人間は稀だから。


大人同士、適度に距離を保って、節度を持って、礼儀を持って、生きていく。


それが習わしで、それが当たり前。


大人として当たり前。


社会人として、アタリマエ。


だけど、自分には、どうしてもそれが……分からない。




……頭が、飽和する。

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飽和する 鈴乱 @sorazome

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