占いの巫女姫に転生してしまったおじさんの物語
プリオケ爺
転生→直後の私の動揺
私は独居中年で孤独死に果てた。
おそらくそのうち、小遣いを無心に来たマゴあたりに発見されるのであろう・・・うーん、やっぱ一緒に住んでおくべきだったのだろうか。
・・・いや、オレ2詐欺で二千万くらい払っちゃってからもー家族全員嫁息子孫その他からめたくそ罵倒されて居場所なかったしあのままいたら自殺するしかなかったよ・・・
「というワケで貴方には異世界転生をプレゼントするのでめちゃくちゃ大活躍し最高の人生を送ってほしい」
末期の幻覚みたいな奴かな。
神様ぽいコスプレした兄ちゃんがのたまう。
「わかりました。予言系の美少女が活躍するめたくそ大好きななろう作品があるのでそんな感じがいいです」
「わかりました!それでは、どうぞ」
私は死んだ。
・
・
・
・・・
・・・・
・・・・・というワケで、私は全てを思い出した。
でも、今はそれどころじゃないんだって!
あたしは目の前の水晶球を見る。
大きさはバレーボールほどだが、中心の球形に歪んだ画像に焦点を合わせると、自分がその映像の中に入り込んだように詳細がわかる。
バレーか・・・なんてハレン・・・あぶない、頭頂部からダンク、じゃなくてスパイク極められて頸椎骨折で殺されるぞ、迂闊なこと言うなあたし!
兎も角、私の暮らす王都が!学園が!めたくそおっきなドラゴン達に蹂躙されまくっている。
目の前で恋人同士らしい男女がドラゴンに補足された。
女が脱兎のごとく逃げ出す。
男も後を追い・・・女にすこしぶつかりよろけ走り出す。
女は転んだ・・・え?いまあの男、前走る女の膝裏蹴ってなかった??
転倒した女は前を走る男へ何事か叫び、空を振り仰ぎ硬直する。
ああぁあああ!!見たくない!!!!!
目をそらした先では、王城の空中庭園で第三王女のヘリツァベルお姉さまが近衛の騎士を盾にしつつも共に焼き尽くされていた。
火に襲われた白薔薇の如く美しい姿が無惨に焼き焦がされてゆく・・・
あっ、いけないわ!なにこの暗く邪な
でも城でも学園でも散々あたしをコケにし腐ってくれたツァビィ姉さまが生汚く兵たちを犠牲にしながらも苦しみもがいて果てていく様はどーしようもなく快くて何度もリプレイして見耽ってしまった・・・。
ククク・・・なぁにが王国の生きた汚点、負の系譜の穢れた遺産よ!
あんたのせいで化粧料・・・あ、年金みたいなもんよ・・・は削られっパで猫の額ほどの凌遅・・・なにこの変換?!?!ひょっとしてあたしの末期プロット?!?!?!?!?!・・・おちけつ、いや落ち着け。狭い領地から絞り上げようにもナニを隠してんだか砂糖菓子で毎年尽くだまくらかされ・・・ん?砂糖??たしかコナみたいなん作ってたよな、ひょっとして転生者がいんのか?
ええい、おちけつ。
落ち着け!
迷走する思考をいったん止め、叫ぶ。
「スヴェトラセルフィマ!来て!はやぁああく!!」
音もなく、しかし室内の気圧が変わって耳が鳴るくらいの勢いでドアがこちら側へと開き、鎧下姿の長い黒髪の女が入って来た。
「姫様!どうかされましたか?!」
うーん・・・鎧下、て女の下着そのまんまじゃん。
なんかジャージの上に嫁のビスチェとかつけて遊んでた娘の姿が思い起こされ・・・てどうでもいいわ。
「お茶」
「は、只今」
音無く退室し、廊下へ凛とした美声が轟く。
『誰ぞ!茶をもてーい!茶菓子を忘れるでないぞ!』
・・・そうだった、茶をくれつったらマジで茶しか持ってこないんだったわここの侍従。
クッソむかつく!!
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