苦み『第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト【短歌】二十首連作部門』

@tokagemarou

苦み

とろとろでとてもプッチンできないの大すきなママの手づくりプリン


春うらら土手でバーガーかぶりつく「あっピクルスはママにあげるね」


あこがれにあこがれていたカラフルなわたあめ普通のわたあめの味


パフェだけのために作られたスプーン底へもぐらせ暑さととかす


ゆるやかに死にたいままに生きているシフォンケーキに沈みゆく指


逃げ惑う最後の一つタピオカを追いかけすぎて潰してしまった


新作のなんとかラテで盛り上がる女の子してる女の子たち


焼けるほど甘ったるい恋してみたい原液のままカルピスひとくち


君にだけ教えたくなった校舎から徒歩七分のそば屋のカレー


君と食むスイカはひどく甘くってうだるような夏も好きになった


口つけたサイダー君に渡す手の震えは氷の冷たさのせい


小糠雨くもりくもりゆく硝子窓にごりにごりゆくクリームソーダ


待ち合わせカイロ代わりの缶コーヒー冷めたのにまだ帰れずにいる


戻れない時間があることを知ったスイカの種を砕き飲み込む


好きだった君の苦手な緑茶淹れ今日は茶柱立ちますように


万物は流転するらしい砂粒にまみれたりんご飴のきらきら


食パンもパウンドケーキも名称に「生」付け時代に愛されてゆく


ミートとか紛い物みたく呼ばれてる口いっぱいの「豆腐」ナゲット


お醤油もコーラも透明にしてゆく世界は個性を尊重してる


選べない道を思った。翡翠色の蕗のお浸し母の味かと

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

苦み『第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト【短歌】二十首連作部門』 @tokagemarou

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画