第2話 悪役令嬢のメモ

「これからすべきこと、ゲームのストーリー、っと」


 ばあやを含めた使用人を全員下がらせ、万年筆にインクをつけてそっと日本語で詳細を書きますわ。……いや、念のために英語で書いておこうかしら?

 前世では、英語を使う業務は一部の人だけだったのに、英語の資格取得を強制されておりました。点数が足りないと毎月試験を受験する必要がありましたわ。転生者が他にいて、もしもわたくしの記録を見ることがあったように、と用心を重ねます。……英語だと外国の転生者の方に読めてしまうかしら? でも、それならこのゲームの詳細をご存じないはずですわ。




ゲームの内容

ある日、聖女としてルチア(確か召喚当時十歳前後?)(たしか、神殿が召喚術を行った)

王立学園に通うこととなった聖女ルチア(十五歳)。その愛らしさと天真爛漫さ、癒やされる性格で攻略対象者たち癒やす。共に魔物を倒すことで次々と恋に落としていく。


攻略対象者

・聖ルピテア王国 第一王子 マルス・ルピテア殿下

 金髪碧眼

 THE 王子様系、紳士、腹黒な部分もあり

 すべてが秀でているバランスタイプ


・聖ルピテア王国 宰相嫡男 ルカルド・マサットウ公爵令息

 黒髪 緑色の瞳

 クール系、紳士、知性的な会話がすき

 武力はダメダメだけど、戦略・知識等でサポートに徹するタイプ


・聖ルピテア王国 騎士団長次男 サタリー・アルテリア伯爵令息

 茶髪 赤い瞳

 顔が怖い、熱血系、女慣れしていない、顔が怖い

 武力全振り、前衛、顔の怖さで魔物もびびる


「あ、思わず顔が怖いと書きすぎてしまいましたわ……」


・聖ルピテア王国王立学園教師 アル(詳細不明)

 黒髪 黒目

 ミステリアス 甘いマスクで女生徒に大人気 ちょっと悪そうに見える

 なぜか男子生徒にも好かれている 魔物討伐の引率役

 武力もほどほど、前衛もできるけど、魔法もほどほど。罠などにすぐに気がつく


・国名? 魔法使い メルテウス 爵位不明

 銀髪 藍色の瞳

 自由人、つかみ所がない、攻略本によると、好きな食べ物(甘いもの)を上げると好感度が上がる

 魔法全振り、ヒロインが危機に陥らないと全く役立たない

 前世の推しの一人


・隠しキャラ ナリアンヌの兄、ハーマート女公爵の嫡男 ムハル・ハーマート公爵令息

 金髪、ピンク色の瞳。

 性格は穏やか、愛が重い、能力はマルス殿下の上位互換とファンにささやかれる

 全ルート攻略の上、ヒロインの能力値を全部MAXにしないと出てこないという鬼畜設定


○ヒロイン 聖女ルチア(召喚者) どの男爵家の養子入りするかでルートが決まる

 茶髪に茶目のストレートヘア。

 優しくて、天然で、ほんわかしていて、かわいい 推し

 聖魔法がものすごい

 天真爛漫なところもあって、愛らしい。困っている人を放っておけないタイプ

 知力も結構あるし、一人で討伐できそうなところあり


「ヒロインがとってもかわいらしいのよね」


○悪役令嬢 ナリアンヌ・ハーマート公爵令嬢

 金髪 ピンク色の瞳 どのルートでも悪役令嬢になる

 使用人に甘やかされて育てられたため、暴君 母公爵は忙しくほとんど関わりがない

 第一王子の婚約者だが、素行不良のため破棄される予定

 父は幼少に亡くしている 兄とも関わりは薄い

 攻略本、悪役令嬢の秘話によると、聖女召喚の贄として魔女(ずっと面倒を見てきたばあや)が殺された。その後、使用人たちはナリアンヌを甘やかすこととなる


「って、ええええ!? ばあやは殺させないですわよ! 思い出すのよ、わたくし……」


 聖女召喚の儀では、魔女の致死量の血が必要とされ・・・・・・


「毎年、神殿に血を少しずつ捧げさせれば、なんとかいけないかしら……献血みたいに……。ばあやに聞いてみましょう」


「はい、お呼びでしょうか、お嬢様」


「うわ!? びっくりしたわ……ばあや、その、あなたの血を、世界平和のために、毎年すこしずつ神殿に捧げるなんていかがかしら?」


「血を……ですか?」


「ええ」


「さすがお嬢様! お嬢様の頭の中には、女神様からの知識が与えられていらっしゃるのですね! ばあやには想像もつかないひらめきをお持ちになられる! さすがお嬢様。お嬢様の愛らしさに女神様もメロメロでいらっしゃるでしょう! では、ばあやは今すぐに神殿に行って参ります!!」


「まって、ばあや。血を採る方法はあるのかしら?」


「まあまあまあまあ! お嬢様は、ばあやの心配をしてくださるのですね! ばあやは長く生きているのでいろんな知識があるのですよ。それに、神殿にも方法はあるでしょう。お任せください」


 自信満々に胸を叩くばあやの姿に、きっとわたくしが知らないこともたくさんあるのでしょうと思い、そのままおくり出すことにいたしました。





「ばあやがいないうちに、これからすべきことを書いていきましょうか」


 先ほど、ばあやが退室していても、なぜかばあやの気配を感じておりましたわ。やっと気配がなくなったので、続きを書いていきましょう。

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