3.聞こえてきた声。
「麗華のやつ、いきなり何だっていうんだ?」
今朝の一件から時間が経過し、昼休みになった。
クラスメイトは弁当を広げる者から、食堂へと向かう者まで様々。俺はいつも食堂のラーメンないし購買の菓子パンで済ませるのだが、今日に限ってはそのようなことを言っていられなかった。
登校時に、麗華は海晴に「話がある」と告げたのだ。
悪友は「気にしなくていい」と話していたが、しかし俺としては無視できない。
「とにかく、二人から目を離さないように……ん?」
というわけで、昼休みになってから海晴の動きを見守っていると、彼女は誰かに教室の外へ呼び出されていた。どうやら相手は、所属している委員会の後輩らしい。
それなら問題ないか、とも思った。
だが、海晴が戻ってくる様子は一向にない。
「マズい、もしかして……!?」
数分ほどの空白時間。
俺は大急ぎで席を立って、海晴を探す。だが――。
「……見失った!?」
彼女がいたであろう場所に、その姿はなかった。
「な、なぁ……! 海晴のやつ、どこに行ったか知ってるか!?」
「え……湊のことか? さ、さぁ……」
とっさに近場にいた男子に訊ねるが、歯切れのよい回答はない。
それでも、俺の必死さを感じ取ってくれたらしい。彼は少しばかり困惑しながらも、こう口にした。
「そういえば、さっき生徒会の書記に声をかけられてたな……?」
「……ありがとう!!」
その情報を聞いて、考えるより先に身体が動く。
なにか、嫌な予感がする。
俺は焦燥感に急かされ、呼び止められるのも気にせず駆け出した。
◆
「こっちで見かけた、って話だったけど……」
すれ違う生徒から話を聞きつつ、追いかけること十数分。
たどり着いたのは人気のない校舎裏だった。このような場所でなければならない内容、と考えるだけで不安が募る。しかし、ここで尻込みしている場合ではなかった。俺は意を決して歩を進め――。
「話し声……いや、これは?」
周囲から雑音が消えるほどに踏み込んだところで。
俺の耳に、彼女たちの声が飛び込んできた。
そして、微かに聞こえたのは――。
『……貴女は相応しくない!!』
耳にまるで馴染みがない。
あまりに痛々しい、麗華の悲鳴のような声だった。
――
じゃぱにーず、しゅらば。
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