3.聞こえてきた声。








「麗華のやつ、いきなり何だっていうんだ?」



 今朝の一件から時間が経過し、昼休みになった。

 クラスメイトは弁当を広げる者から、食堂へと向かう者まで様々。俺はいつも食堂のラーメンないし購買の菓子パンで済ませるのだが、今日に限ってはそのようなことを言っていられなかった。

 登校時に、麗華は海晴に「話がある」と告げたのだ。

 悪友は「気にしなくていい」と話していたが、しかし俺としては無視できない。



「とにかく、二人から目を離さないように……ん?」



 というわけで、昼休みになってから海晴の動きを見守っていると、彼女は誰かに教室の外へ呼び出されていた。どうやら相手は、所属している委員会の後輩らしい。

 それなら問題ないか、とも思った。

 だが、海晴が戻ってくる様子は一向にない。



「マズい、もしかして……!?」



 数分ほどの空白時間。

 俺は大急ぎで席を立って、海晴を探す。だが――。



「……見失った!?」



 彼女がいたであろう場所に、その姿はなかった。



「な、なぁ……! 海晴のやつ、どこに行ったか知ってるか!?」

「え……湊のことか? さ、さぁ……」



 とっさに近場にいた男子に訊ねるが、歯切れのよい回答はない。

 それでも、俺の必死さを感じ取ってくれたらしい。彼は少しばかり困惑しながらも、こう口にした。



「そういえば、さっき生徒会の書記に声をかけられてたな……?」

「……ありがとう!!」



 その情報を聞いて、考えるより先に身体が動く。


 なにか、嫌な予感がする。

 俺は焦燥感に急かされ、呼び止められるのも気にせず駆け出した。







「こっちで見かけた、って話だったけど……」



 すれ違う生徒から話を聞きつつ、追いかけること十数分。

 たどり着いたのは人気のない校舎裏だった。このような場所でなければならない内容、と考えるだけで不安が募る。しかし、ここで尻込みしている場合ではなかった。俺は意を決して歩を進め――。




「話し声……いや、これは?」




 周囲から雑音が消えるほどに踏み込んだところで。

 俺の耳に、彼女たちの声が飛び込んできた。

 そして、微かに聞こえたのは――。




『……貴女は相応しくない!!』




 耳にまるで馴染みがない。

 あまりに痛々しい、麗華の悲鳴のような声だった。




――

じゃぱにーず、しゅらば。


面白かった

続きが気になる

更新頑張れ!


もしそう思っていただけましたら作品フォロー、★評価など。

創作の励みとなります。


応援よろしくお願いいたします!!


※三連休は昼更新。

あと、作者の体調で変動の可能性あり。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る