娘が学校に行かなくなった

@read356

第1話

ある朝、異変に気が付いた。それはあまりに自然に起こっていたから、気が付くのが遅かった。


登校時間になっても、娘が部屋のクローゼットから出てこない。呼びかけても、返事すらしない。物音もなく、中に閉じこもっている。


その日の朝は、娘はいつものように起き、朝食を食べた。身支度をしていて、鏡を見ている時、ふっとその場から離れた。そして部屋に戻ると、閉じこもり出てこなくなったのだ。


娘は中学生だから、落ち着けば自分の意志で出てくるだろう。と、無理やり引っ張り出すのはやめ、しばらく様子を見た。しかし、1時間経っても、2時間経っても出てこない。


居間の座布団が減っている。それを持って、クローゼットに閉じこもっているようだ。午後、用を足したくなったのか、出てきて、トイレに行った。しかし、またすぐに閉じこもった。


夕方は出てきて、部屋で過ごしている様子。だが、晩ごはんに呼んでも出てこず、声をかけても反応がない。


次の日の朝も、同じように座布団とともにクローゼットに閉じこもった。


学校に連絡する。「欠席」


しばらくしたら、また学校に行き始めるだろうと思いつつ、そんな日が3週間以上続いた。


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