蜜豆

にしの泊瀬

蜜豆

春の風迦陵頻伽の声遠く

佐保姫や左を向いて寝れません

水茎の扇軽しや夜の梅

桜貝夜に栞を挟みをり

岡持ちの蓋ずれてゐる彼岸寒

百均のシール綺麗に取れて春

木の芽時我が家にもいるハクション大魔王

新緑や書棚に五冊料理本

初鰹二進法で捌きけり

梅雨じめり皮むけてゐる指の股

夏帽子拾ふてもらふまた落とす

先生の説明聞いてをり子鹿

薫風や四日続きの一万歩

杖に汗つかみしままに三輪の山

下山道毒茸の紅褒めあへり

蜜豆や恋に落ちたる冷たき手

独り居に耳動かせり夜の秋

秋暑し角度鋭きショートケーキ

月の夜に財布落としてしまひけり

冬の月ほんたうにうそ塗り込める

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

蜜豆 にしの泊瀬 @yukoyuko_n4

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る