遠距離恋愛の部屋

天川裕司

遠距離恋愛の部屋

タイトル:遠距離恋愛の部屋


イントロ〜

あなたは遠距離恋愛したことがありますか?

もどかしい恋、又はピュアな恋、ともよく言われたりしますね。

でも実際、遠距離恋愛は自然消滅が多いもの。

しかし又そこから挽回したい人も多いもの。

今回はそんなことで悩んでいた

ある男性にまつわる不思議なお話。


メインシナリオ〜


ト書き〈1人の部屋で〉


俺は遠距離恋愛している。

他府県をいくつも またいだ先に彼女がいる。


「はぁ、会いたいなぁ。でもなかなか会えないんだよなぁ…」


最近ずっと連絡がない。


でもそんな時、ある不思議な人から

「遠距離恋愛でも簡単に会える方法があるよ。そう、いつでも会える♪この魔法陣みたいなのを壁に貼り付けて、思うことを言ったら心が届くよ」

みたいな話を聞き、俺は早速それを実行。


その魔法陣は正方形の形をしていて、

縦・横 40センチメートル程のちょっとコンパクトなもの。

それを部屋の壁に貼り付けて、その魔法陣のちょうど真ん中にある

黒塗りの部分に話しかける。


「ホントにこんなので効くのかなあ?」

なんて当然半信半疑だったが、

それでもそれを信じてしまうほど、

俺の彼女に対する想いは強かったんだ。


そして壁にその魔法陣を貼り付けた。


「…あ、ちょうど隣の部屋、空き部屋か」


俺はアパートに住んでいて、隣の部屋は空き部屋だった。


「まぁいいや。始めてみよ。…ゆうこりん、君に会いたいよ、会いたいよ、会いたいよ」


彼女の裕子に向かって俺はそう何度も訴えた。

訴えては壁を見て。訴えては壁を見て。


「…なんだか虚しいなぁ」


当然、返事なんて返ってこなかったから虚しさがやってきた。


でも次の瞬間、裕子から電話が鳴った。

「え!?」と思いながら電話に出てみると…


裕子「急にごめんね、今大丈夫?」


「あはあ♪大丈夫だよ、大丈夫♪」


タイミングばっちりだったので、ちょっと驚き。


裕子「私さぁ、なんか急に会いたくなっちゃって!ねぇ、今から会ってくれる?」


「え!?」


裕子と俺の家の距離は、他府県をいくつも

またいでる。そんな簡単に会えない距離だ。

今は夜中。

「今から会ってくれる?」なんてどう言う事?


と思っていると…


裕子「手を伸ばしてみて」


と言ってきたので手を伸ばした。

するとちょうどその俺の手は魔法陣の真ん中、

あの黒塗りの部分に差し出す形になっていた。


そして次の瞬間…


「え!??!ぎょわわわああぁあ!!?」


その黒塗りの部分からヌッと手が出てきて、

俺の手を鷲掴みするようにつかんできたのだ!


恐怖で手を引っ込めようとしたが引っ込められない。

そしてパッと手は消えて、電話もフッと通話が切れた。


「………え?」


あまりにいろんな事が突然に起きたから

訳がわからなかったが、でも俺はそこから夢遊病のように

何かに誘われる形で立ち上がり、部屋を出て、

隣の部屋のドアの前まで行ったのだ。


自分が何をしてるのかよくわからなかったが、

自分は今、正しいことをしてる…そう思った。

「ゴクリ…」と唾を飲み込みながらドアを見てると、

空き部屋で真っ暗な筈のその部屋に明かりがついた。

ドアの隙間からその明かりが漏れている。


そしてドアがガチャリと開き…


裕子「どうぞ♪待ってたわ、入って♪」


と俺はその部屋に招き入れられ、この世での記憶はそこで終わった。


そして虫の知らせのようなものがその時に来てわかったが、

裕子は3日前に事故で亡くなっていた様子。

遠距離だから分からなかった。


その部屋に入った後の記憶は、俺と裕子だけが知っている。

俺が入ってからすぐ、部屋の明かりは消えたみたい。


動画はこちら(^^♪

https://www.youtube.com/watch?v=SVGNVn4RHqg

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遠距離恋愛の部屋 天川裕司 @tenkawayuji

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