見えない世界と生きる少女

ヒーリングライフ

第1話

 昭和40年代、縁側がある昔ながらの家に祖父母と暮らす少女がいた。両親は離婚し母は仕事でいそがしかったため祖父母が保育所の送り迎えや食事のお世話をしていた。

 祖父は仕事をこなしながら家庭菜園をしたり料理を作り忙しい毎日だがいつも機嫌が良い。祖母はお散歩や遊び相手をする、どちらかといえば教育係だった。少女は祖父母と過ごす時間も大好きだが、1人遊びをする空間も大好きでよくお人形ごっこをしていた。

 そんなある日いつものように、お人形ごっこをしていた時のこと。何やら楽しそうな話し声が聞こえてきたので祖父母が帰ってきたのかと思い、喜んで玄関に行くと誰もいないのだ。あの話し声が頭の中をグルグルまわり首をかしげながらお人形のところに戻り続きを遊んだ。しばらくして外で用事をしていた祖母が玄関に入ってきたのでその話をしたが少し困った様子だった。子供ながらになんとなく話さない方がが良さそうだと感じた。

 そんなことが日をまたいで何度か繰り返されたが大人に話すことはそれ以降なかった。

 祖父は汗をかきながら畑から収穫した野菜を持ってかえり相変わらずイキイキとしている。

 それにしてもあの楽しそうな話し声は誰なんだろう。あそうだ、今度聞こえた時は動かないで聞こえてくる方向を探ってみよう。

 

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