無自覚吸血鬼は生き血を啜る
夜椛
第1話 死亡転生死亡の危機
「夢なら覚めろ!覚めろ!!覚めろ!!!」
俺の目の前には大量のスライムが存在し
正直
何故こうなったかと言うと時は少し
「はぁー、毎日毎日仕事仕事で疲れるわ。ドブラッククソ企業。」
「言ってやるな。他のブラックと比べたら給料いい分ホワイトな方だろ。」
俺と同僚は営業先から戻る最中に再開したため一緒に会社へ向かっていた。
「そうは言ってもねぇー。受付までも営業に回し始めたらもうおしまいだと思うんだが…。」
俺の会社は人手不足なのか色々な部署で兼任が増えてきて、ついに会社の顔である受付業務を行う俺にも声がかかった。正直、頭大丈夫かと言わざるおえない。受付業務は基本1人しかいないのに来客が来たらどう対応するつもりなのか知りたい。
「性格は兎も角、顔は良いから営業も兼務になったんじゃ無いかお前。とてもじゃ無いが三十路目前には見えない。」
「はぁ、お前が老け顔過ぎるだけだわ。俺は年相応の顔してるぞ?」
「こいつ、俺が気にしている事を…。」
「まぁ、そんな老け顔でも嫁貰えるぐらいには色々持ってる有能だし然程気にする事じゃ無いさ。人間歳とれば皆老ける。顔だけが取り柄では後々嫁さんに捨てられるからな。」
俺もそろそろ身を固めるかどうかは決めないと不味いかなっと少し思いながら足を進めていると前方から悲鳴が聞こえて来た。
キャアー!!
「あー、今日は平和じゃ無いな。」
「最近治安悪化してるからなぁ…。」
実際、俺は過去に六回程通り魔に襲われた事がある。二回目以降は対処できる様に軽い護身術的な奴を習いに行かざるおえなかった。それ程までに治安が悪化し警察の対処が追いついていないのが現状だ。
「遠回りして戻るか。」
「そうするか。」
明らかにヤバめの悲鳴だったので早急に安全に退散すべく別の帰り道に道を変えようと背後を振り返った瞬間、刃物をこちらに向けて近づいてくる不審者が出没していた。俺は反射的に射線から同僚を押し出すと脇腹を刺されていた。だが、刺された所で急所でなければ抜かれない限り即死はしない。…ただし滅茶苦茶痛いが。
「最近話題の通り魔か。死ね!!」
その態勢のまま相手の睾丸を蹴り潰し無力化すると同時に意識が遠のくがここで寝たら多分死ぬので気合いと根性で耐える。
「俺の前で刺されるの今回で三回目だよな?相変わらずの頑丈さだ。近くが病院だ死ぬなよ?」
こんな非常時にも取り乱さない同僚に呆れとある種の安心を覚えながら病院に運ばれた。
ー数刻後ー
俺は無事病院のベッドで目を覚ましたがこの日の俺の不運はまだ続いた。この日で人生全ての不運を回収するんじゃ無いかってぐらいには続いた。ここで死んでおいた方がまだ良かったと思うぐらいには死ぬまで不運が続いた。
そう何度も言うが文字通りここからは“不運が死ぬまで”続いたのだ。
入院していた病院は原因不明の火事で焼け落ち巻き込まれ全身大火傷。その後運ばれた救急車にはトラックが突っ込み下半身が潰れて下半身の感覚が消え目の前にグロッキーな人だった物、それでも耐えて救助が来るのを待っていると来たのはどっかから逃げ出して来た馬か何かで顔を蹴られ頭蓋が砕け顔は崩壊。満身創痍の状態で最終的に俺の命を奪ったのは隕石とか言う始末。本当に運が無かった。
死の淵では己の不運を呪ったが、その生命力の強さに乾いたが込み上げてくるぐらいには余裕がある自分にも驚いた。
(俺はGかよ。ここまで運が下振れする事ってあって良いのかよ!?後の人生、燃え移って自宅が焼け落ちた事を超える不運はないと思ってたんだけど…。でも隕石で死ぬって結構稀じゃね?この死に方は後で何かしらの形で語り継がれそうで嫌だなぁ。確実に死んだ実感はあるしタナトス辺りが迎えに来るのか。それとも存在と言うか意思が消えるまで虚無のままなのか。って、我ながら余裕あるな。)
走馬灯が終わると同時に俺の意識は闇へと落ち、俺は文字通り死体すら残さずこの世から完全に消失した筈だった。
ー現在ー
何故か俺は生きていて非現実的な光景を目の前にしている。俺の死に方からして絶対有り得ないので壮大な夢か何かだと思っているのにこれが現実だと言う謎の確信がある。
「夢なら覚めろ!!頼むからさー!!」
逃げようにも何故か超空腹で身体が動かない。だが、スライムの大群は進行を止めない。つまり、詰みである。
転生したら異世界で既に詰んでましたー完ーってか!?
折角命を拾ったのなら生を謳歌したいがこの現状をどうにかする術など持ち合わせている筈もなく再び襲いかかる確実な死を受け入れるしかなかった。
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