いざ、異世界へ その2

「かっ、軽っ!銃って重いイメージがあったけどこれはとても軽いですね。これも試し撃ちしてもいいですか?」


女神様は笑顔でゆっくりと頷いた。

俺は振り返り、銃を撃てるように構えた。

この銃は自動拳銃なのかな、あまり詳しくないけど。

セーフティレバーを外して、引き金を引けば撃てるんだよな?

俺はセーフティレバーを外し、引き金をゆっくりと引いた。

カチッと音がなった瞬間、発砲音が轟く。

撃った時の反動によって生じた振動が体全体に伝わる。

くっ、銃の反動ってかなりきついんだな。俺の撃ち方に問題があったのかな?


「銃ってやっぱりいいですね。そういえば無限に撃てるって言ってましたけど、どういう仕組みなんですか?」


チート武器だからデメリットはないかもしれないが、どういう仕組みか一応聞いておこう。

もしデメリットがあった場合、後々めんどくさいことになりそうだからな。

まあさっきの弓みたいに生命エネルギーというやつを使うと思うが。


「この銃はですね、銃弾が無限にセットされるようになっているんですよ。」


「はい?どういう意味ですか。」


「えっと……。無限にでるようになっているんですよ、はい。」


「? よくわからないですけど、銃弾が無限に出てくるように作られてるってことでいいんですか?そしてデメリットとかないですよね?」


「はいっ!デメリットは特にないですよ。強いて言うならば威力が強すぎるってことぐらいですかね。」


「強すぎていいんですよ!そうじゃないと一般人の俺はすぐに殺されちゃうので。」


「あっ、そうでした。強力な道具以外にも強力な能力を貴方に授けようと思っていたんです。私の前に来たください。」


「はっ、はい。分かりました。」


俺が女神様の前に行くと、女神様は両手を俺にかざした。

その瞬間、俺と女神様は神々しい光に包まれた。

女神様は早口で呟いているが、聞き取ることができない。おそらく日本語ではないだろう――!?

突然大量の情報が脳内を駆け巡る。

膂力上昇、脚力上昇、動体視力上昇、反射神経上昇、生命力上昇、etc.

くっ、情報量が多すぎて頭がパンクしそうだ。

頭痛と吐き気が凄くキツイ。

俺は右手で口を抑え、左手は頭を抑えている。

早く止ってくれないとこのままじゃ……。

女神様が呟くのをやめた瞬間、神々しい光がゆっくりと消え、頭痛と吐き気が和らいだ。


「ふー、終わりましたよ、田中剣さん。これで貴方はこれから行ってもらう世界で戦えるように強化されました。試しにさっき渡した弓を使ってみてください。」


俺は女神様に頷いた。

さっき頭の中に流れてきた情報は本当なのだろうか。

ぱっと見、筋肉とかが増えたりしていないから体に変化がなさそうに思える。

本当に強くなったのだろうか。

俺は床においてある弓を拾い上げる。

――!?

さっき持った時は重さを感じたのに、まるで何も持ち上げていないような感じになっている!

膂力が強くなったのは本当だったのか!

俺は嬉々としながら振り返り、女神様を見ると、女神様も笑顔だった。

俺は弓を構え、弦を最後まで引いた。

俺はさっき弦を引いた時よりも力を使わずに済んだのに感動した。

そして弦をおもいっきりはなした。


 「はっ!!」

おっ、さっき放った時は矢を目視できなかったが、今放たれた矢ははっきりと見ることができた。

動体視力も良くなっているのか。


「強くなったのが実感できましたか。」


「はいっ。これならば俺も異世界で活躍できると思います。そういえばこれから行く世界の言語って何ですか?俺日本語しか話せないんですけど。」


「あーそれは大丈夫ですよ。貴方は異世界語を理解できるようにしましたので。……では田中剣さん。貴方が魔王を倒せるように私は祈っています。さあ、お行きなさい、勇者よ!」


「え?」

俺の周りに神々しく光っている魔法陣が現れた。

これもしかて異世界にワープするための魔方陣か。


「あのー女神様っ!!俺まだ行きたくない――」


俺は神々しい光に包まれてこの空間から消えた。



いざ、異世界へ その3に続く







 

 

 


 

 


















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