06 オオカミ族と捕らわれた二人
ルルとラクスはオオカミ族が住むという森の中へと入った。
しばらく獣道を歩いていたが、居並ぶ大木や生い茂る植物のせいで、方向感覚がおかしくなってくる。
いったいいま、どのあたりにいるのか。
森は薄暗く、光はろくに差していない。
少し休憩しようかと思った矢先、二人の足もとがせり上がってきた。
草の下に罠が隠してあったのだ。
ルルとラクスはつるで編んだネットに絡めとられ、中空へつるし上げられたところで、身動きが取れなくなってしまった。
「ひゃっは~、引っかかったぜ~」
「俺らはな、おまえたちが森に入った瞬間から、ずっと狙ってたんだぜ~」
「こいつら、いい身なりしてるし、食い物も金も持ってるみたいだぜ」
とがった耳や鋭い牙、ズボンからはしっぽの飛び出した人間。
「君たち、ひょっとしてオオカミ族?」
ルルは抜けた感じでたずねた。
数人、いや、数匹のオオカミ人間たちは、きゃっきゃきゃっきゃと笑っている。
「そうでい。オオカミ族の王、ゼオさまの命により、おまえらを捕らえさせてもらうぜ~」
「ふうん、ゼオくんねえ」
ルルはニタニタとほほえんだ。
「てめえ! 態度がふてえぞ! ゼオさまと呼ばんか! おい、あれをかがせろ」
「おう」
合図を受けて、一匹のオオカミが小さなびんのふたを開け、ルルとラクスに近づけた。
「う……」
甘い香りに二人は気が遠くなって、そのまま眠りについてしまった。
「よし、アジトへ連れていくぞ」
狼たちは罠を解き、ルルとラクスをそれぞれ縛り上げた。
動かない二人は肩にかつがれ、森のさらに奥へと運ばれていった。
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