HIghschool Dream Live! RAINBOWS編
薄氷 暁
第1話 あこがれ
体に、ビビビッて電流が走ったような。いや、そんなもんじゃない。雷に打たれてしまったかのような、そんな感じがした。
ドキドキがおさまらなくて、興奮が冷めなくて、気がついたら動画配信サイトで何度も見てしまう。
私、野沢瑠奈にとって高校生アイドルは、そんな存在なんです!
ハマったきっかけは、東京都の私立俊英高等学校のアイドル「World Flyers!」だった。
去年の秋、高校2年生の修学旅行で東京に行った時。街頭のビジョンに映っていた『BADEND』という曲のPVを見た瞬間、私の目はビジョンに釘付けになっていた。
なかでも一番心を動かされたのは、曲中最大に盛り上がるところ、センターのアガーシャのソロ。
アガーシャの綺麗な金色の髪がぶわぁっ!て広がって、ゴシックな黒の衣装と、衣装の腰あたりから生えてる黒い羽根が風で揺れる。そしてアガーシャが歌い出すと、アガーシャの綺麗な歌声がその場を支配するのだ。
その光景を見た瞬間、私はもう、World Flyers!の虜になっていた。
修学旅行から帰るとすぐに公式サイトを探し、サイトにアップされている曲を全部聞いた。ダンスも覚えて、完璧に踊れるようになった。チケットは取れなかったからインターネット中継で見たハイドラ決勝戦では、他のチームを圧倒するパフォーマンスに言葉をなくしたものだ。
センターのアガーシャはもちろん、アリス、ヴァイオレット、ジュミにティー。みんなみんなかっこよくて、ダンスも歌もすごくて。衣装だって手作りのはずなのにプロのアイドルにひけをとらないレベル。素人の私には、難しいことや専門的なことなんてわからないけれど、高校生に絶大な人気を誇るのも頷けるほどのクオリティだった。
舞台上で圧倒的な存在感を放つその姿は、昨年のハイドラ女子部門王者に相応しく、また、『ハイドラ史上最強のユニット』と謳われるだけあると思う。
すごい…本当に、すごい。
私も、あんな風になりたい!
こんなにドキドキしたのは初めてで、こんなにも何かをやりたいと強く思ったのも初めて。
私も、メンバーを集めて、皆であのステージに立ってやる!
私は今高校3年生で、進路とか受験勉強とか、大変だってことはわかってる。それに、今まで勝ち残ったのは関東の学校が多かったから、東京から遠く離れたここ広島で勝ち上がるなんて、夢のまた夢かもしれない。
それでも、やりたい!どんな困難があっても乗り越えて、いつかあのステージに、仲間と一緒に立ちたい!3年の私が高校生アイドルの大会であるハイドラに出られるのは、今年が最後。だから…どんなに大変でも、やりたい!後悔なんてしたくないから、何事も全力で頑張って、夢も進路も叶えてみせる!
そう思いながら、私は自分の通う学校…私立空ヶ丘女学院へと歩き出した。まずは、親友の颯姫と実莉に声をかけよう、と心に決めながら。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます