第156話 不死鳥と老龍:⑪
オレはオリハルコンの
もう一台の荷馬車には宝石類やアダマンタイト鉱石・ミスリル・金銀・とグレゴールの
さてそろそろお開きだなと思っていると、グレゴールがオレに言った。
『アラン、今度はいつ会えるかわからんのじゃから、ワシのヒゲも持っていくといいのじゃ』
『ヒゲ…?、
『
『あー、そういう使い方はあるね、でも持っていくってヒゲを切っていいってことなのか』
『かまわんのじゃ、いずれは生え変わりで抜け落ちるものじゃからな』
『そうか、そういうものか。じゃあもらうね』
オレは結界ナイフで長さ二㍍くらいの太いヒゲを切った。
手に持って感触を確かめると、なんだか魔法の発動がスムーズにいく感覚がある。
オレがグレゴールのヒゲをしげしげ眺めていると、アンドリューが言った。
『アラン、
『うーん。それは嬉しいけど、尾羽根を抜くのは痛いんじゃないか?』
『いいのであーる。
『んーッと、オレのこの世界の
『いいのであーる。遠慮しなくてもいいのであーるよ』
オレはアンドリューの尾羽根を抜こうと思ったが、切り取ったほうが痛くないかなと思って、結界ナイフで尾羽根を三本切り取った。
試しにコレをアダマンタイトの剣の芯材にすると、火の斬撃を飛ばせる剣が造れるかな、出来上がりが楽しみだな。
〚どうやらアランとアンドリューとグレゴールは仲良くなれたようだね。私も加護を授けたモノ同士が仲良くなるのは嬉しいよ。さてそろそろお開きにしようかな。みな息災でいてくれよ。私はお前たちのことを見ているからね。では私は行くよ〛
オレたちは頭を下げて、サリーエス様のミスリル立像から光が消えるのを待った。
オレはミスリル立像を半透明の柔らか結界で包みこんだ。
『グレゴール、ここからお前が住んでいる断崖絶壁の地層の割れ目まで、人族の時間でどれくらいで行けるんだ?』
『そうじゃのう…、七〜八時間で行けるのじゃな』
『そうか…、じゃあ十時間で結界が解除されるように念を込めておくよ』
オレは柔らか結界が十時間で解除されるように念を込めた。
『じゃあ、そろそろオレも帰るよ。またどこかで会おうな。ただし、今回みたいにいきなり来るんじゃなくて『念話』で連絡してから来てくれよ。じゃないと人族たちが大騒ぎするからな』
『わかっているのであーる』
『ホントかな?』
『信用して欲しいのであーる。我もまたサリーエス様のお叱りを受けるのはイヤなのであーる』
『とにかく、しばらくはおとなしくしておいてくれよ。オレがこの街を離れて山とか海の近くで暮らすようになったら、また遊びに来ればいいさ』
『そうであーるな。我も街に近い場所よりは山がいいであーるな』
『グレゴールもその時は遊びに来いよ』
『うーん、ワシはねぐらで眠っているのが好きじゃから、わからんのじゃ』
『まぁ、どうしても来いとは言わないからその気になったら『念話』で教えてくれ』
『わかったのじゃ』
『じゃあ結界の上の部分を解除するから、そこから飛んでいくといいよ』
オレはドーム型に張った結界の上半分を解除した。
グレゴールはオレが柔らかい結界で包みこんだミスリル立像をそっと
アンドリューはいつものように甲高くギョェェェェェェェーーと大きな声で鳴くと、グレゴールの後を追って飛んでいった。
ヤレヤレ、アイツらやっと飛び去ってくれたか…、なんだかいろんなモノをもらって、嬉しさ半分迷惑半分でとても疲れたよ。
グレゴールが付与してくれた水魔法と氷結魔法も練習しないといけないし、ヒゲと
ヘブバ男爵領には、いつになったら行けるんだろうか…。
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