第70話 創造神様とのんびりトーク:①

 書庫の中で創造神様がオレの身体を依代よりしろ降臨こうりんされて御力を使って神罰を与えたり、ジェームズやオードリーに神言しんごんをくだされているのをオレはノンビリと見ていた。


 オレがいただいた創造神様の加護をあなどった三バカ兄弟や縦ロールがクラークとヴィヴィアンも我が物にしようとたくらんでいるのを聴いて我慢できずに胸の奥から怒りが込み上げてきて、それからなぜだかハッキリ言葉が喋れるようになっていくのを不思議に思っていたら、いつの間にかここにいたんだ。


 どこかというと、この世界に産まれる前に創造神様に加護と魔法を戴いた白いモヤの中だ。あのときは胸がつぶされて死んだはずなのに、新しい世界に生まれ変わるとか加護や魔法を戴いたのに気を取られていて気がつかなかったけれど、この白いモヤの中にいるとだんだん気持ちが良くなってきて身体がポカポカ暖かくなってきた。


 オレは柔らかい結界で寝椅子を作れるかなと試してみたらできたので、そこに寝転がっていたのだが、退屈なので書庫の中はどうなったのかなと思ったら、まるで映画館のように大きなスクリーンが現れて画像が表示されて音声も聴こえてきた。


 おー、これはライブビューイングだな。


 そこでの出来事はリアルタイムで見聞きした。創造神様が三バカ兄弟と縦ロールから魔法を取り上げたら、スクリーンから赤色・青色・茶色・白色の光が飛び出してきてオレの身体に吸い込まれたのには驚いた。


 オレは自分の手を見ながら、確か縦ロールは鑑定魔法を使えたんだよなと思って〚〚鑑定:オレの魔法〛〛と念じてみた。


 するとなんということでしょう、魔法が増えてるよ!。


 アラン・コーバン

 結界魔法

 生活魔法

 火魔法

 風魔法

 土魔法

 鑑定魔法


 ほえ〜〜、創造神様が四人から取り上げた魔法がオレのものになってる。


 創造神様、何してくれてんねん!?。


 まぁ使える魔法が増えるのは嬉しいことだからいいけどさ。


 オレはそのあともライブビューイングで書庫の中での出来事を見ていたが、オードリーに抱きしめられて頬ずりされている自分の姿を見て、なんか小っ恥ずかしい気持ちになった。


 ジェームズに頭を撫でられて嬉しくなって、この二人の子どもに産まれて良かったとしみじみ思った。


 それにオレが悩んでいた滑舌かつぜつがだんだん良くなってきたのは、創造神様が御力を使って喉と口を成長させてくださったからか、ありがたいことだ。


 オレが感謝の気持ちでちょっと涙目になっていると、優しく肩に手を置かれた。


 振り向くとそこには創造神様がいた。


 オレがあわてて寝椅子から下りて膝をついて頭を下げようとしたら、創造神様はニッコリ笑って言った。


〚ハハハハハ。アラン、そんなことはしなくていいよ。これはよくできているね。座ってもいいかな?〛


『もちろんです。どうぞ』


〚う〜〜ん、柔らかいけれど、しっかりしたものだね。結界魔法がうまく使えているね〛


『はい、戴いた結界魔法を毎日使って練習しました』


〚じゃあ新しく手に入れた魔法の練習も楽しみだね〛


『はい、使える魔法が増えているのには驚きました。このまま戴いてよろしいのでしょうか?』


〚私をあなどり、アランを攻撃しようとした愚か者たちから取り上げたものをその賠償として与えたんだから、遠慮しないでおきなさい。結界魔法と生活魔法を組み合わせたり、魔法陣を使っていろいろ楽しんでいたようだけど、これからさらに楽しめるね〛


『ええ楽しみです。ですが創造神様から戴いた魔法で遊びすぎているような気がするのですが、これからも続けてよろしいのでしょうか?』


〚かまわないよ。アランが楽しみながら結界魔法の可能性を探っていくのを見るのは、私も楽しいんだ。そうだ、結界で作った剣を見せてくれないか?〛


『はい、どうぞ』


 オレは結界剣を作って創造神様に差し出した。いつもと違って結界剣を作るスピードは早く、硬さも増している。


 創造神様は結界剣を握って軽く振った。


 ビューーンと音がして、白いモヤを大きく切り裂く斬撃がはるかかなたに飛んでいった。


 オレが目を丸くして見ていると創造神様はニヤリと笑って言った。


〚うーん、神威カムイの通りがいいね。さすが私が加護を与えたアランが作っただけのことはある〛


神威カムイ…?。それは創造神様の御力のことでしょうか?』


〚そうだよ。この白いモヤも地上で使った力もそうだが、私の神の力のことだよ。今アランの身体を作っているのもそうだね〛


『えっ、この身体ですか?』


〚そうだよ、だってアランの身体はあそこにあるじゃないか〛


 創造神様がスクリーンを指差すと、オードリーに抱かれて馬車に乗っているオレが見えた。まわりにはジェームズ・クラーク・ヴィヴィアンがいるから、屋敷に帰るのかな。


 創造神様が教えてくれたのは、オレの肉体は神威によって傷ついているそうだ、細かい細胞レベルで修復が必要なので、しばらくは眠り続けて肉体を休ませなくてはいけない。


 修復が終わるまではオレの精神こころを創造神様の世界にとどめておいて、精神に神威を馴染なじませることにしたと言われた。


 今オレが意識している身体は神威で形成されたもので、オレが違和感なく過ごせるようにしてくださったのだ。


 オレの肉体はお屋敷うちに帰れるが、オレの精神はまだ帰れないようだ。


 



 


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る