第696話 アメリカ滞在10日目(摩天楼にて)
ニューヨークと言えば、エンパイヤステートビルなどの高層ビルが立ち並ぶ摩天楼、タイムズスクエア、そして自由の女神像。
世界有数の政治、経済、文化の中心地としても名高い。
そしてゴーストバスターズや、ニューヨーク東8番街の奇跡という、映画の舞台となった都市でもある。
これ以上書くと、作者の知識、教養の無さを露呈してしまうので、やめておいた方が良いと思う。
僕ら一行は途中の駐車場に車を停め、地下鉄で目的のビルに向かうことにした。
ニューヨークの中心部は車の渋滞がひどく、歩いた方が速いとすら言われている。
良くニューヨークの地下鉄は怖いというが、日中なので大丈夫だろう。多分、きっと、恐らく。
体がデカくてゴツい、バローズも一緒だし…。
最寄りの地下鉄の駅に着いたが、至る所の壁がひび割れており、歴史を感じさせる。
東京でいうと、銀座線に近い雰囲気を感じた。
壁のところどころに落書きがあるのも、何となくニューヨークっぽい。
電車がホームに入ってきたが、ほとんど人が乗っていない車両があった。
僕はそっちの車両に乗ろうとしたが、バローズに止められた。
どうやら、そういう車両には〇の狂った方が乗っていたりして、誰も乗っていないケースがあるらしい。
ニューヨークで極端に空いている車両があれば、乗らない方が良いそうだ。
一つ賢くなった。
そして一度乗り換えして、目的の駅についた。
駅名も英語なので、どこで乗り換えたか、どこの駅で降りたかは良くわからない。
僕も最初に東京の地下鉄に乗った時は、日本語で書かれていても、どこがどこなのかわからなかった。
乗り換えとなっていても、一度外に出る場合もあったし、不慣れな土地で地下鉄に乗るのは意外と難しい。
ちなみに札幌は3本しか地下鉄がなく、しかも全線大通駅を通るので、とてもわかりやすい。
代理人がいるビルに着いた。
恐らく50階以上あると思うが、見上げると首が痛くなる。
1回では見上げられないので、2回に分けて見上げた。
しかもこんなビルがそこら中に立ち並んでいる。
新宿の超高層ビル街も凄いと思ったが、ニューヨークはケタ違いだ。
エレベーターに乗って、このビルの38階にあるという代理人のオフィスに行く。
余談だが、札幌市内で一番高いビルは、JRタワーであり、最上階の38階が展望台になっている。
つまり僕の代理人になるかもしれない方は、いつも展望台で仕事をしていることになる。
これって凄くないだろうか。
エレベーターの中でそんな事を考えていると、無事に38階に着いた。
代理人のオフィスは、エレベーターを降りてすぐのところにあった。
ドアには英語で何やら書いている。
「三田村、何て書いてあるんだ」
「えーと、セールスとバカはお断りと書いてあるな」
「ほう、じゃあ三田村は入れないな」
「バカにバカとは言われたくない。バカ」
「何だと、この野郎」
文章で書くと、僕と三田村の間には険悪な空気が流れているように感じるかもしれないが、その通りである。
「まあまあケンカしないで下さい。
ドアには『タナカ代理人事務所』と書かれているんですよ」
そう言いながら、通訳のサトウさんが、ベルを押した。
「ハーイ」
しばらくしてドアが開き、中からブロンドのアメリカ人の女性が出てきた。
サトウさんが英語で何かを言い、その女性が大きくうなづき、ドアを大きく開けた。
「さあ中に入りましょう」
その女性、そしてサトウさんに続き、僕らはゾロゾロと中に入った。
僕、三田村、トーマス、ルディ、そしてバローズ。
「ハロー、ナイストゥーミーチュー」
日系人らしき40歳くらいの男性が、僕らの方へ歩み寄ってきた。
見るからにブランドものっぽい、ジャケットとパンツで決めており、やり手の印象を持った。
そして僕と三田村とは握手し、サトウさん、トーマス、ルディ、バローズとはハグをした。
どうやら僕と三田村以外は旧知の仲らしい
部屋の中には10畳くらいの事務所と、同じくらいの大きさの会議室があり、僕ら一行は会議室に案内された。
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