電車と少女と知らないおじさん

@YAMIAKUI

電車と少女と知らないおじさん

──────ガタン……ゴトン……



おじさん『…隣、いいカナ?😃』



少女「いいですけど」



おじさん『ありがと☺️よいしょ🦵』



少女「……」



おじさん『……』



少女「…なんでわざわざ隣に座ったんですか?他の席が空いてるじゃないですか」



おじさん『はは😃確かにそうだけど、君と喋ってみたい気持ちにゃ勝てなかったネ😉』



少女「…もしかして今私ナンパされてますか?」



おじさん『断じて違う😡』



少女「じゃあ何なんですか?」



おじさん『……この状況、男なら誰だって君の隣に座りたがるさ🙂‍↕️』



少女「ナンパじゃないですか」





──────ゴォォォォォォォォォ……





おじさん『君、名前はなんていうの?😃』



少女「ナンパおじさんに教える名前はありません」



ナンパおじさん『ひどいなぁ😩僕は君の性格やら生い立ちやらが聞きたいだけなのに😗』



少女「見ず知らずの人の生い立ち聞いて何が楽しいんですか」



ナンパおじさん『……君も見ず知らずの人にしては、まぁまぁキツめに喋ってくる方だと思うヨ?😅』



少女「とにかく何も話すことはありませんから」



ナンパおじさん『おぉそうか🙄学校は楽しい?👍』



少女「話聞いてました?」



ナンパおじさん『勉強はどう?🤓』



少女「別に普通です」



ナンパおじさん『部活はやってるの?💪』



少女「やってないです」



ナンパおじさん『友だちは多い方?😁』



少女「………………普通です」



ナンパおじさん『ぜったい少ないやつジャーン!!😂😂😂』



少女「あんた本当になんなんですか!?」





──────ゴォォォ……オオォォォ……





ナンパおじさん『ははぁ😉やっとこっちを見たネ😀』



少女「…………」



ナンパおじさん『君ねぇ…さっきすごい顔してたヨ?😩この世の終わりみたいな顔してた🤡声の一つもかけたくなるヨ😢』



少女「……ほっといてください」



ナンパおじさん『なるほど、友人関係の悩みがあるっぽいネ🤔……僕も昔は苦労したもんだヨ😏』



少女「別に友達はいます」



ナンパおじさん『あれ😕じゃあ何が嫌なのさ🤔』



少女「……ずっと怖いんです」



ナンパおじさん『怖い?😕』



少女「自分が無くなる事がすごく怖い」



ナンパおじさん『ほう🤔』



少女「……人とずっと話してると、自分の意識が相手に溶けちゃう気がしませんか?」



ナンパおじさん『んーおじさんよく分からない😵‍💫』



少女「…周りと仲良くする為には基本、みんなの話を聞いてあげたり、流れの中に自分を混ぜたりしますよね?」



ナンパおじさん『そりゃそうだネ😑』



少女「その時、私は『輪を崩さない私』を作り出さなきゃいけないんです」



おじさん『お、おぉ😧』



少女「目先の快楽に合わせて自分を作ってるのが、後ですごく気持ち悪くなるんですよ」



ナンパおじさん『……へぇ🤨今の子はそういう風に考えるのか🧐』



少女「きっと私だけです」



ナンパおじさん『どうしてそう思うの?😃』



少女「……勘です」



ナンパおじさん『いやぁ、ちょっと神経質すぎな気もするけどネ🤔おじさんは溜め込まず解放!🤯って感じだから😝』



少女「……おじさんには分かりませんよ。生まれつきずっとこうなんです。周りの人全員に気を遣い続けてると、息が詰まるんですよ…」



ナンパおじさん『じゃあ、無理して誰かと一緒にいる必要もないんじゃないか?🤔』



少女「……一人は一人で寂しくなるんです」



ナンパおじさん『はは😓難儀だネ……😑ってあれ?🤔僕と話してるのは大丈夫なのカナ?😃』



少女「あなたに気を使う必要はないですから」



ナンパおじさん『ショック!😭おじさんショック!😭😭😭』



少女「ふふ」



ナンパおじさん『ほほう🥴だんだん心を開いてきてくれているじゃないか😁』



少女「……そんな事ないです」



ナンパおじさん『いやそんな事あるネ!🤪』


 

少女「……おじさんは、ぼっちのくせに寂しくないんですか?」



ナンパおじさん『おぉう😧中々しんどいお便りが来たな………😗うん。もちろん、寂しいさ😃』



少女「あ、寂しいんですか」



ナンパおじさん『でも、もう慣れたよ😉一人になって結構経つからネ👍』



少女「ふーん、20年ぐらいは経ちました?」



ナンパおじさん『……僕、君が言うほど老け顔じゃないと思うけどなぁ😅』



少女「おじさんのメイクが濃すぎてよくわかりません」



ピエロおじさん『ピエロメイク、かっこよくない?🤡』



少女「似合って無いです」



ピエロおじさん『ひどいなぁ🤡このメイク結構時間かかるんだよ?🤡』




────ゴォォォ…ォオ……パチ…パチ……




少女「火、強くなってきましたね」



ピエロおじさん『君は逃げないの?🤡』



少女「おじさんだって逃げてないです」



ピエロおじさん『そりゃあ、この電車に火付けたの僕だからね🤡大体見た目で分かるでしょ🤡』



少女「あ、そうだったんだ。なんでですか?」



放火ピエロおじさん『何でだろうねぇ🤡自分でもよく分かってないんだわ🤡』



少女「あなたマジでヤバい人じゃないですか」



放火ピエロおじさん『この燃え盛る車内で普通に会話してた君も大概ヤバいよ?🤡』



少女「…あなたと一緒にしないでください」



放火ピエロおじさん『いや、僕たちは似てるよ🤡』



少女「はい?」



放火ピエロおじさん『僕も、毎日自分を溶かしてたら、よく分かんなくなっちゃったんだ🤡』



少女「……私は電車に火付けたりしませんからね」



放火ピエロおじさん『はは!そりゃそうだな🤡』





─────パ……アァァァァ……ガタン…





少女「……誰もいないですね」



放火ピエロおじさん『普通の女の子は隣の車両が燃えてたら逃げるよ🤡』



少女「そうですかね」



放火ピエロおじさん『いやぁ、火ィつけて適当に歩いてたら、普通に君が座っててビビったよ🤡』



少女「私も急にピエロのおじさんが隣に座ってきてびっくりしました」

 


放火ピエロおじさん『はは🤡ピクリとも動かないし、凄い暗い顔してたし、大丈夫かなぁって🤡』



少女「凄い顔といえばあなたも凄い顔してますよ」



放火ピエロおじさん『思想犯っぽくて良いと思ったんだけどなぁ🤡』



少女「思想犯、なんですか?」



放火ピエロおじさん『いや、ぜんぜん🤡』



少女「意味わかんないですけど」



放火ピエロおじさん『大人になれば分かるさ🤡』



少女「分かりたくないです」



放火ピエロおじさん『大人は家でも外でも忙しいフリをしたり、ちょっと背伸びしないとダメなの🤡』



少女「そんなの、別に大人だけじゃないですよ」



放火ピエロおじさん『たしかに🤡』





────キィィィ……ィィイイ……ィィン





少女「これからおじさんはどうするんですか?」



放火ピエロおじさん『どうなんのかなぁ。向こうで何人か死んでるから多分死刑だけど🤡』



少女「めっちゃ人殺しじゃないですか」



人殺し『めっちゃ人殺しだね』



少女「……恨んでた人でもいたんですか?」



人殺し『……昔、母親を殺されたんだ。借金が返せなくなった逆恨みでね。男3人で囲んで殴る蹴るの暴行よ。そんで証拠が残らないように裏山で焼き殺されたんだ』



少女「……」



人殺し『その3人と奇しくも同じ電車に乗り合わせてね。カッとなってカッターで切りつけて、母親と同じように火炙りにしてやったのよ』



少女「……それ本当ですか?」



人殺し『全部ウソ』



少女「……なんでウソつくんです??」



人殺し「いやぁ、恨んでる人がいれば、僕の殺しもマシに見えるのかなぁってね」



少女『最低です』



人殺し『でも、途中までちょっと話聞いてやろうかなって思っただろ?』



少女「それは…そうかもしれません」



人殺し『もし、僕に悲しいバックストーリーとか、そういうの本当にあったらどうする?』



少女『……関係ないですよ。どうもしません』



人殺し「それが正しい。でも、君は僕に尋ねた。恨んでる人でも居たのかってね」



少女「………」



人殺し『みんな貴賤なく、自分とか他人にぴったりの言葉を探して生きてるんだよ」



少女「……そうですね」



人殺し「僕には……どっち側にもそれが無かっただけなんだ』




─────落ち着いて行動してください!電車から離れてください!皆さん!落ち着いてください!





人殺し『ねぇ、もう時間が無いから改めて聞きたいんだけどさ』



少女「はい?」



人殺し『何で君は逃げなかったの?』



少女「……それは」



人殺し『いや、何となく分かるよ。そのリュックに入ってるの、あんまり見られたく無い物だよね?』



少女「……」



人殺し『ロープ』



死にたい少女「……正解です」



人殺し『命は粗末にしちゃダメだよ』



死にたい少女「なんですかその超絶不謹慎ギャグ」



人殺し『本心だよ?だから僕はダメなんだ』



死にたい少女「…ふふふ。何なんですかあなたは……本当に」



人殺し『…外が騒がしくなってきたね』



死にたい少女「そうですね。完全に私が人質の構図です」



人殺し『……そろそろ僕は行くけど。最後に一つ、いいかな?』



死にたい少女「……なんですか?」



人殺し『そうやって心から笑えてる内は、まだ死なない方が良いと思うよ』



死にたい少女「……考えておきます」



おじさん『……じゃ!また会おうネ!😃』



少女「……さよなら、知らないおじさん」



END

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