氷のように溶けて、忘れられる

骨身

2024/06/18 35キロ

私の名前は骨身(こつみ)。

身長が155センチで、体重が35キロ。

みんなの笑い声が耳にとどまる。

あの日別れたあの人との思い出は流しそうめんのように流れて、私の見えないところに溜まっている。

でも、私の細さをバカにするような、キンキン声の笑い声は耳に残る。

「◯◯ちゃんデブだよねー。痩せればいいのに。」

くすくすくすくすくすくす

「骨身ちゃんは細くていいよねー。あたし痩せなきゃ。」

そういう彼女、中田 ななの身長は159センチ、体重は51キロ。充分細いじゃあないか。私に何を言ってほしいんだ。

言葉を飲み込む。

「ななちゃんも細いよー。この前も痩せてたよね。」

精一杯笑顔を作る。

あ、ひきつってるかも

右の口角の方が1ミリ高いかも、目笑ってないかも、嫌味になっちゃったかな。

あー嫌だ嫌だ、細いからだっていやだな。


くすくすくすくすくすくす

ななちゃんたちは、また違う子の噂話をしながらどこか行った。

どこに行くんだろう。

人の悪口をブランドのように引っさげて、能天気に歩く子達は、どこに行くのだろう。



………………………………

「ただいま。」

誰もいない家に言う。家がおかえりと言ってくれればいいのに。

洗濯物をたたみ、食器を棚に片付ける。

お湯を張り、沸くのを待つ。

てれれれれんれんれれれれん

お湯が沸いたので、お風呂に入る。

服を脱ぐ。

セーラー服(上)

肌着(上)

スカート

偽パン

肌着(下)

靴下

鏡の前にたつ。

細くて、肋の浮いてる、気持ち悪いからだ。

気色悪い。

泣き崩れる。

毎日私は自分の体をみて泣いている。こんな体に生まれたくなかった。何が体質だ、何が羨ましいだ。

私の肋はとても浮いている。

私はまるで、浮世離れしてるみたいだ。


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氷のように溶けて、忘れられる 骨身 @kotumigaikotu00

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