第2話「冒険開始です、押忍!」
神域を追い出されて教会の間に戻ってきたおれたち。神父たちはおれたちに付与されてきたスキルを確かめてみたがやはり何も表示されなかったことから失望されてしまった。
「やはり神はこの2人を見捨てたということでしょうか。
残念です、あなた方の旅が息災であることだけを祈りましょう。」
全くいいかげんなお祈りをしやがって。
そう思いながらおれたちは教会を後にした。
「しっかし残念だね2人とも。
これからどうするつもりー?」
アンナさんはおれたちを心配して聞いてくれた。だが同情するなら金をくれよ。防具どころか一文なしなんだから。
「とりあえず何かしら依頼を受けて報酬を受け取らないと今日の宿やメシに困るもんな。
どうする勝利?」
「だよな、アンナさん何かいい案とか思いつかない?」
「そしたら集会所に行ってみようよ。
そこでお手頃な依頼を引き受けてみよ。」
「いいなそれ!なんだかほんとに異世界っと感じがするわ!」
おれたちはアンナさんに着いていき、集会所へと向かった。その道中では街の人がおれたちについて噂が広まっていた。
「ねぇ聞いたあの人たちスキル0なんだって?」
「え、やだー。スキル0の男の嫁になんてなれないわーw」
そんなこと言ってる女はこっちから願い下げだわ。そんなにスキル0が気に入らないのか?スキルを持ってるのがそんなに偉いのか?
いつか絶対に見返してやる。そう思いながらこれからの冒険に一層気合いを入れていくことにする。
「ここが集会所よ!依頼を引き受けて報酬を受け取ったり訓練所とかもあるから初心者ならまずは押さえておきたい場所!」
集会所は複数のカウンターに受付嬢がいて中は酒場もかねているからたくさんの冒険者が昼間っから酒をかっくらっている。
壁にはいろいろな種類の依頼がある。薬や荷物を届けたりモンスターの捕獲、討伐の依頼。さらには地形の調査など多岐にわたって冒険者に依頼が出されている。
「なぁなぁ、おれたちに合いそうな依頼ってなんかあるかな?」
正俊は依頼の数に圧倒されながらも好奇心を抑えられずにいた。
「あなたたちはスライムすら倒せないから、まずは荷物の運搬とかはどう?
力には自信がありそうだし向いてるんじゃない?」
「そうだな、今の状態ではモンスター討伐とかは難しそうだからまずは軍資金稼ぎにはちょうどいいかもな。」
おれは張り出されている依頼書をはがした。周りの冒険者はあまり見ない服装のおれたちについてこっそりと話している。
「今聞いたか?スライムすら倒せねぇのに冒険者だってよw」
「マジかよw冒険者なんてやらずに農民でもやってりゃいいのにな。てか農民すらスライムは倒せるっての!wあっはっはw」
落ちこぼれ冒険者で悪かったな。
気にせずに受付嬢の元へと向かった。
「すみません、この依頼を引き受けたいんですが...」
「ぶっwあ、失礼しましたw」
おい今吹き出しただろ、絶対今の話聞いてただろ。にらみつけたら咳払いをして依頼の受注をし始めた。
「えっと、改めて今回は隣町の方の依頼ですね。荷物の運搬の依頼ですね...
はい、受け付けました!ちなみに道中はモンスターがいくつか存在しますのでお気をつけて依頼を遂行してくださいね。ぷぷw」
なーるほど、よくわかった。
なら文句なしに依頼を完遂しようじゃねぇか。
「依頼主はこの街の宿屋にいますので、こちらを宿屋の店主に見せれば依頼主に会わせてくれますので...ご武運を願いますw」
ムカつきながらも集会所の紋章が入ったチップを受け取り集会所を後にした。
ーーーーーー
「あっはっはっはw
まさか受付嬢たちにも小馬鹿にされるなんてねwあんたたち最高だよw」
「そうですかい。」
おれたちは宿屋に向かい依頼主から荷物を受け取りに行っていた。その道中にあった小店で焼きトカゲを食しながら。正直人生でトカゲを食う時がくるなんて思いもしなかったけどいざ食べてみたら鳥の皮にそっくり食感だった。
「えっと、正俊くんはまだ気絶したまま?」
「こいつ爬虫類苦手なんだよなー」
昔から正俊は爬虫類を見ると気絶してしまう。小学校の時に土手でヤモリを大量に捕まえて持ってったらそれがトラウマになってそれ以来ずっとこのままだ。だから何かと気絶した時はいつもおんぶして背負っている。
「宿屋は確かもうすぐですよね?」
「そそ!あそこに見えるのが宿屋!」
アンナさんが指差した方向にはINNと書かれた看板を見せる宿屋があった。RPGでいかにもよく見るような外観だ。中に入り、店主にさっき渡されたチップを見せた。
アンナさんに聞くとどうやら宿屋の店主も集会所の重役らしい。
「その奥の部屋に依頼主はいるよ。」
そしておれたちは奥の部屋に行くと依頼主の男性が座っていた。
「あなたたちが今回依頼を引き受けてくれる冒険者ですか。なんだか頼りなさそうに見えますが。」
またここでも言われたよ。
「ええ、今回は荷物の運搬ですよね?」
「はい、この荷物を隣町まで運んでもらいたいんです。食糧になりますのであまり粗末には扱わないでいただきたい。」
「わかりました。必ず隣町までお届けして参ります。」
「私はまだこの街にいますので終わりましたら報酬をお渡しします。」
そうおれらに伝え米俵と野菜が入った箱を2箱受け取った。やっと冒険らしくなってきた。
おれたちはさっそく届けるために街の門まで運んでいく。普段から稽古で丸太運などをしていたからこれくらいなら朝飯前だ。
ただ唯一、またスライムが襲ってきたら逃げるしかなくなる。
「さてと、そしたら2人とも準備はいい?」
「え、アンナさんも来てくれるんですか?」
「まぁね、強いて言うなら分け前をもらうためにねw」
がめつい人だ。
「まぁ護衛に着いてくれるならいいんじゃないか勝利。いろいろとお世話になってんだしさ。」
「まぁ確かに。そしたらよろしくお願いします。」
「はいよー!そしたら出発よ!」
ついにおれたちは冒険者としての第一歩を踏み出した。
ーーーーーー
「ぎぃやー!!」
「うわー!こっちくんなー!」
おれたち2人はまたしてもスライムに襲われていた。物理攻撃が無効化される以上おれたちにとってはまさに天敵だ。追われて逃げているところだ。
「あははははwほんとあんたたち面白いんだけどw」
「笑ってないで助けてくれー!!」
「全くしょうがない奴らだねw」
そう言いながら剣を抜き次々とスライムたちを切っていく。剣の腕前は確かだ。するとおれたちに経験値が入り、レベルアップの表示が出る。
「見ろよ、おれたちレベルが上がったっぽいぞ!」
「ほんとだ、なんか強くなった気がする!」
「レベルって概念はよくわかんないけど、早く強くなってもらわないといつまで介護すればいいんだか。」
しばらくの間はアンナさんにおんぶにだっこで冒険が続きそうだ。
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