第1話:警察という組織だから出来ること。

 今回主役二人は、〝私立探偵〟と云う身分で登場します。


 私立探偵ですから、拳銃も持っていませんし、逮捕どころか捜査をする権利もありません。調査=investigationするのが精一杯です。


 そこに自分の母親を捜して欲しい、という女性が来ます。二人は調査を始めますが、」どうも自分達にもやましいところがあってヤキモキする。その女性が犯罪と関係していて銃撃戦になるというお話ですが、この銃撃戦を迎えるに当たって、主役の二人は課長から警官の地位を委嘱されて銃を撃つという話でした。


 問題はこの警官の地位を委嘱されて銃を手にして銃撃戦をする、という点です。


 現実世界で、警察官が腰に下げながらもほとんど行使することのない〝拳銃を発砲する特権〟。それをためらいもなく行使してきた主役のお二人に、自分はワクワクしたのです。それは二人が〝警察〟と云う組織に所属しているからこそ許される、特権だったのです。


 しかし、それが組織の都合で委嘱され、錦の御旗の元で許されたものだとしたら……どうでしょうか? あの二人の腰に収まっていた銃が、組織に拠って貸与されているものであることは変わりないのですが、その使用の判断は主役の二人の判断にゆだねられていたはずです。それが組織が何かを守るために委嘱されたものだなんて……なんか寂しくありませんか? 「明確な敵がいるから、銃を取って戦え」なんて言われて銃を撃つのは似合わないなぁという気がします。


 警官という身分であるからこそ銃を発砲できる権利を持つ、というのは皆さんご存じのことでしょう。この二人がテレビシリーズで〝あぶない刑事〟だったのは、この警官の持つ権利を躊躇なく行使し、そしてその権利を行使する判断を、他でもない主役の二人が判断していたことが〝あぶなかった〟のです。


 その特権を行使する判断を組織にゆだねた二人は、もはやあぶなくなんてない。自分で噛みつく事を忘れて、組織に言われて噛みつくなんて言うのは、もはや飼い犬でしかない……と思ったワケです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る