乾物屋35代目異世界に行く!峠でのんびり食事処を始めたら街になりました。
川向こうのジェロ吉さん
第1話 ガス爆発?
店の前のアスファルト道路に水をまくと蜃気楼が立ち込める。もうすぐ夏が来てそして酷暑だ!
「おーい出かけてくるからな店番を頼むぞ!」
「母さんも居ないの?」
「おう、商店街の婦人部の集まりで出かけている」
「父さんは何処に行くんだよ!」
「俺か?商店街の幹部会だ! 新しい大型店舗の説明会を聞いてくる、全くこんな駅前に来なくても良いのにな」
駅前の市バスの発着場に、大型店舗が進出して来る計画が持ち上がった。
俺達の商店街は少し離れたアーケード通りに面している、駅のお客が降りて住宅街に帰るついでに買い物をして行ってくれる、その先を大型店舗が建ったら死活問題だと今日も親父達が集まって会議をするってね、本当かね?
「アレ妹は如何してるの?」
「あゝ大学だよ、お前だけだからちゃんと店番しとけよ!」
親父は出て行く、残りは俺だけだ。
しかしこの店は本当に大丈夫かな? 確かに商店街の店舗は家の品物を買ってくれるけど、一般のお客さんは中々買ってくれる物はないんだよね、だって長期保存出来る物ばかりだし、このお中元で売れないと俺のお小遣いが増えない状態だ。
缶詰や瓶詰めをネットで調べて売れ筋商品を並べてもそんなに飛ぶようには売れない。
賞味期間が来て、俺の昼飯か夕飯に消えて行く方が多いくらいだ!
「ウーン、やっぱりどうにかして売り込まないと、昼に来る常連さんのおばちゃん達に声をかけて一つでも多く売る事にしよう」
そして俺は店に入って、お好み焼きのテーブルを清掃する、少しガス臭いが?
俺がいるお店は、江戸時代から続く乾物屋さん、祖父祖母居なくて、親子でやっている個人経営の小さな店、店は乾物を置いて奥に座敷でお好み焼きを焼かせて食べさせるフリースペースを作ってある。
まあ俺達もここで食事をするので、毎日清掃は欠かせない。
昼に俺が蕎麦やうどんを食べているとおばちゃん達も注文して来るので、たまに作ってあげている、そのせいで食品衛生管理者をやる羽目になった。
そして今はお中元ギフトの販売に力を入れないと、俺のお小遣いが増えないので頑張るしか無いけど、今思えば高校を卒業した時に就職をしておけば良かったと後悔を半分している。
さて清掃清掃、俺はテーブルを拭いて、鉄板の確認をして火を付けた。
ドカーン、そこで俺の記憶は無くなった。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
夕方帰ってきた妹は膝付く、家が小さくなった!その家の前で父と母が泣いている。
そして足元に、携帯が落ちている事に気がつく。
「これはお兄ちゃんの物、ええどうなったの?」
この爆発は大型店舗の策略だと商店街が騒ぎ出し、大型店舗は誹謗中傷に負けて撤退を決める。
妹は婿を貰って、産んだ子供を36代目として乾物屋をさらに発展させた。
後に兄を大型店舗に殺されて復讐の為に、その会社の株を買い占めて企業を乗っ取り復讐を完結させて、亡骸の無い墓に報告した。
後に彼女は肝っ玉母さんと言われて余生を送る!
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