第2話 恋心
じっと見つめるのは不躾だとはわかっている。
だけど、どうしてもわたしの目はスティーブン様を追ってしまう。
スティーブン様は一見冷たく見える青い色の瞳をお持ちなのだけど、わたしと目が合うと、にっこりと優雅に微笑んでくださった。しかもその目尻がちょっとだけ垂れるから、すんごくかわいらしく見える。ああ、その表情を永遠に見ていたい。
「レシュマの好きなものは?」などと、聞いてくださるときに見える、輝くような歯の白さが素敵。
「あ、わたし、本を読むのが好きです。特に魔法書とか……」
「そう、それはすごいね。読むだけじゃなくて、使えたりするの?」
「は、はい。少し、ですけど。風とか水の魔法が得意です。でも、まだまだ下手ですから、魔法学校に行くか、高名な先生に教えを請いたくて」
今のわたしの魔法の先生もいい人なんだけど。初級魔法しか、教えられないって言ってるし。もっと、わたし、高度な魔法を知りたい。
「ふーん。僕の婚約者になるなら魔法学校は無理だけど、魔法の有名な家庭教師とかだったら紹介はできるよ。ねえ、お母様」
スティーブン様が公爵夫人に聞いた。
「そうね。元々あたくしは子爵家の娘程度では、スティーブンの婚約者には不足があると思っていたのよ。でも、レシュマさんには魔法の才能がおありなのでしょう? なら、それを磨くのもよろしいわよね。ええ、あたくしの伝手で魔法使いの先生を紹介いたしますわ」
「本当ですか!」
「ウォルター・グリフィン・ブラウンス先生はご存じ? 魔法の家庭教師の……」
「もちろんお名前は存じ上げていますっ!」
若手魔法使いの第一人者だもの。短期間でもこの先生に師事できたらすごい。
前のめり気味に喜んだら、なぜだかスティーブン様がちょっと拗ねたみたいにわたしを睨んだ。
「魔法もいいけどさ、レシュマ、僕のことも忘れないでよ?」
う、うわぁ!
なに今のスティーブン様のお顔!
口なんか尖らせて、 か、可愛いというか、なんというか。え、え、え? わたしの興味がスティーブン様から魔法に向けられたら、拗ねてくださるの?
それって、もしかして、スティーブン様が、わたしを気に入ってくださった……っていうこと? スティーブン様以外の他の何かに意識を向けないでほしい……って思ってくださったの? そ、それって……。
スティーブン様も、わたしのことを……? 好き? 気に入ってくださった?
天使みたいにキラキラしているスティーブン様が、わたしを……って思ったら、胸の鼓動が跳ねて踊って……収拾がつかなくなった。
ああ、どうしよう。
好き。
どうしよう。
今日、出会ったばかりなのに、こんなに好きになって、どうしたらいいんだろう。
もう、スティーブン様から目が離せない。
さらりと流れる青灰色の髪に触れてみたい。
手をつないで、スティーブン様の体温を感じたい。
恋に落ちたわたしの胸は、苦しくて。
それでいて、その苦しさはとても甘美だった。
スティーブン様が、わたしのほうを見てくれた。
スティーブン様が、わたしに微笑んでくれた。
スティーブン様が、わたしの名前を呼んでくれた。
それだけで、嬉しくて。
胸がどきどきしてしまって、うまく受け答えはできない。でも、顔を、耳まで真っ赤にしながら、一生懸命、わたしはスティーブン様とお話を続けた。
そんなわたしを見たスティーブン様が、わたしのことを「かわいい」と言ってくれた。
か、かわいいって……わたしが。
ああ、幸せ。
ふわふわしたピンク色の雲に乗って、空に浮かんでいるみたい。
あまりにわたしが舞い上がっていたから、ときどき、テーブルの下で、ルーク兄様がわたしの足を踏んできた。それでなんとか正気を保っていられたくらいだった。
とにかく目が惹きつけられて。
無条件に引き寄せられてしまうの。
スティーブン様は、多大なる引力の持ち主だと思う。
……まあ、つまりは、わたしがスティーブン様に恋をした、というだけなんだけど。
そんなこんなで、あっという間に家族同士の顔合わせタイムは過ぎて。
わたしがスティーブン様の婚約者として特に問題ないだろうと、結論付けらえた。
それで、両家の当主、つまりスティーブン様のお父様であるアルウィン侯爵と、わたしのお父様であるミラー子爵の間で婚約の契約書を交わすことになった。
こ、これで、わたし、正式に、スティーブン様の婚約者っ!
わたしの心臓の音が、スティーブン様に聞かれてしまうのではないか……、などと思いながら、震える手でわたしは婚約の契約書にわたしの名前を書いた。
手が震えてたからって言い訳ではないのだけれど、字が……わたしの名前を書いた字が……すごい下手。
スティーブン様は実にスマートに、婚約契約書にサインをした。書かれた文字までが美しかった。
わたしの字と、スティーブン様の字を比べると……、うわぁ、恥ずかしい。わたし、字、下手すぎるっ!
恥ずかしさのあまり、顔から火を吐きそうよっ!
下を向いていたら、スティーブン様が、そっとわたしの手を取ってくださった。
ふ、触れられた指が……火傷しそうっ!
「これでレシュマは僕の婚約者だね。よろしくね」
「は、はいっ! スティーブン様。こ、こちらこそ、よろしくお願いいたします……っ!」
上機嫌に笑うスティーブン様。
う、嬉しいのかな? 嬉しいと思ってもらえるのかな? わたしが婚約者になって……。
そうだったら良いな……って、わたし、このときは、心の底から本気で思ったのだ。
「えーと、お父様とお母様たちは、大人同士でいろいろとお話があるだろうから、終わるまで僕たちは二人で遊ぼうよ。あっちの遊戯室にはチェスやトランプがあるんだ。レシュマはチェスはできる?」
「ほえっ!」
あまりにびっくりして、わたしは声が裏返った。
ふ、二人で……、二人きりで……。いきなりスティーブン様と二人きり……。
多分このとき、わたしは顔どころか全身が真っ赤になっていたに違いない。
そんなわたしの様子を見て、スティーブン様はくすくすと笑った。
「大丈夫。二人と言っても、侍女や護衛はたくさんついてくるから」
あ、そうですね。子爵家と違い、侯爵家の御令息だものね。
今、わたしたちが案内されていた応接室にだって、壁際に侍女がずらりと並んでいるし。
「あ、あの……わたし、チェスはやったことなくて。あ、でも、教えていただけるのなら、覚えます……」
わたしはなんとかそう答えた。
だけど、スティーブン様は、ちょっとだけ顔をしかめた。
「知らないのを覚えるのは大変でしょう。えーと、レシュマは本を読むのが好きだって、さっき言っていたよね?」
「は、はいっ!」
「なら、図書室に案内しようか? たくさん本があるよ」
「えっ! よろしいのですかっ!」
「うん、だって、レシュマは僕の婚約者になったんだもの。お父様の執務室にある本はダメだけど、図書室なら好きに見ていいよ。どんな本が好きなの? 良かったら今日、何冊か貸してあげようか?」
うわあ、嬉しい! わたしはスティーブン様に手を引かれ、アルウィン侯爵家の図書室まで案内をしてもらった。
磨かれて、鏡のようにピカピカしている大理石の廊下。
窓から差し込んでくる柔らかい日差し。
手を繋ぎ、そこを歩いていくわたしとスティーブン様。
もちろんわたしたちの後ろには、数人の侍女たちが付いては来ていたけれど。
それでもお城のように素敵な場所で、素晴らしい婚約者と一緒で、物語のお姫様にでもなった気分だったのだ。
そう、物語の締めくくりの定型文のように『二人はいつまでも幸せに暮らしました』って、このまま、わたしとスティーブン様は婚約して、結婚をして、幸せになれる。
幸せは永遠に続く。
浮かれていた。
だから、失念していた。
こんなにも美しくて、スマートで、魅力的なスティーブン様が、既に何度も婚約と婚約解消を繰り返していたことを。
物語のお姫様のようなしあわせな夢想は、図書室にたどり着く前という、たったわずかな時間で、すぐに破られた。
「スティーブン様ぁ、お見合いは終わられたのですかぁ」
「お疲れ様です~」
廊下の向こうから、現れたのは、こげ茶色のシンプルなドレスに、白いエプロンをつけた、あどけない顔つきの二人の女の子。
「メイ、ミア」
わたしやスティーブン様と同じくらいの年に見えたから、下働きとか、侍女見習の子なのかな……と、思ったのと同時に、スティーブン様が、繋いでいたわたしの手をするりと放して、彼女たちに軽く手を振った。
あ……、手が離れちゃった……。
わたしは、すごく残念に思った。
もっと手を繋いでいたかったな……。
熱いほどだった手が、急激に冷えていく感じがして、わたしはぶるりと身を震わせた。
……もしかしたら、この震えは、体の冷えではなかったのかもしれない。
多分、予兆みたいなもの。
愛や恋といった感情の熱が、冷やされてしまう……とか。
「あちらのぉ、サロンのバルコニーを開け放ってぇ、今、お茶の用意をしてたんですよぉ。スティーブン様のだーい好きな、糖蜜のタルトもご用意してまーっす」
「あたしたちが運んだんです~。ぜひ、スティーブン様に食べていただきたくて~」
糖蜜というのは、黄金色に光るシロップで、砂糖を精製する時にできる副産物なのだそう。すごく甘いの。タルトだけではなく、彼女たちのスティーブン様に向ける声も、その糖蜜みたいにものすごく甘ったるい。
「ああ、ありがとう。せっかくだからレシュマも一緒に食べようよ」
「あ……、はい」
そんな彼女たちは、スティーブン様の腕に、自分の腕をするりと絡めながら、上目遣いで、スティーブン様を見た。
「ねえねえ、スティーブン様ぁ。そっちの人が、新しい婚約者ですかぁ」
スティーブン様の右腕にくっついている、桃色髪の女の子が言った。
スティーブン様の左腕に、胸を押し付けるようにして、ぎゅっとしがみついている茶色い髪の女の子は、わたしを見てにやにや笑う。
「そうだよ。あ、レシュマ。紹介しておくよ。こっちの桃色の髪の子が、メイ。茶色い髪のほうがミア。メイもミアも、父上の知り合いの娘でね。うちに行儀見習いとして、来てもらっているんだよ」
知り合いって……どこどこ男爵の娘ですとか、親戚のだれだれとか、そういう紹介はないのだろうか?
たしかにアルウィン侯爵家であれば、屋敷で働きながら、行儀作法やマナーを学びに来る下級貴族の子女も多くいることだろう……とは思うけど。もしかして、爵位を持たない……平民の子、なのかな? でも、スティーブン様のお父様のお知り合いのかたの娘……。
それに、知り合いというだけの行儀見習いの娘が、雇い主であるアルウィン侯爵家の子息であるスティーブン様と、こんなに親密になるものなのだろうか?
腕を絡めるなんて……。
しかも、わたしという婚約者の前で。
「メイですぅ。よろしくお願いしますね、新しい婚約様ぁ」
「ミアでーっす。婚約、長く続くといいですね~」
親密そうに聞こえる、明るく、間延びした声。
だけど、メイさんの目もミアさんの瞳も全然笑ってなんかいなかった。
わたしを、見下すような、目。
そう、たとえば……「へー、婚約者ぁ? どうせすぐにまた新しい人に代わるんでしょお?」という雰囲気が、ありありと現れている。
わたしが考えすぎ、なのだろうか?
わからない。
わたしの喉がひくり、と動く。
婚約者として、毅然としなければならない……とは思う。
行儀見習いの娘などに、侮られてはならない……とも思う。
だって、わたしはもう、単に子爵家の娘というのではなく、侯爵家の令息の婚約者なのだから。
だけど、実際には、二人の女の子たちに気圧されて「あ……の、レシュマ・メアリー・ミラーです」と、小声で答えることしかできなかった。
ああ、こんなんじゃ駄目だ。
なんだかわからないけど、駄目だ。
駄目だと頭では理解しているのに、わたしの視線は床に向いてしまう。
スティーブン様は、わたしの様子や彼女たちの目線にも、気が付かなかったのか、それとも気にしなかったのか、
「じゃあ、行こうか」
と、軽い足取りで歩きだした。
右手でメイさん、左手はミアさんと手を繋ぎながら。
今度はスティーブン様はわたしに手を差し出してはくれなかった。
わたしは楽しげな三人の背中を眺めながら、ずっと考えている。
………わたしは、なにを、見せられているのだろう……って。
サロンのバルコニーに用意されていたお茶とケーキ。わたしの分もちゃんと用意はされているし、見るからにおいしそうだった。だけど……。
「レシュマ、そっちに座って」
「はい………」
テーブルを挟んで対面に、わたしとスティーブン様が座る。
やっぱりメイさんはスティーブン様の右側に椅子を寄せてそこに座った。ミアさんも同じようにスティーブン様の左側。
「さあどうぞ、スティーブン様ぁ」
一口大に切り分けたケーキを、フォークで刺して、それをスティーブン様の口元に持っていくメイさん。
「あーん」と口を大きく開けて、おいしそうにケーキを頬張るスティーブン様。
「あら、口元が~」
スティーブン様の糖蜜にまみれた口を、ミアさんが取り出したハンカチで拭う。
……本当に、わたしはなにを見せられているのだろう。
混乱。
困惑。
それよりも、茫然。
怒るとか、怒鳴るとか、そんな感情まで行きつかない。
わたしの心の中は、訳の分からない感情が、マーブル模様のようにぐるぐると渦巻くだけ。
じっと、スティーブン様と彼女たちの様子を見ながら、わたしは石のように固まることしかできなかった。
すると、スティーブン様がくすりと笑った。
「うん、レシュマは良いね」
「え……?」
なにが良いのだろう。
スティーブン様はメイさんを見て、ミアさんを見た。
「二人とも、そう思うだろう?」
メイさんとミアさんは、笑った。
毒の花みたいな笑顔で。
「そうですねぇ、今度の婚約者様はぁ、あたしたちにお茶とかぁ、かけたりしませんからぁ」
「前の人はひどかったですよね~。『わたくしが婚約者なのにっ!』とか、ヒステリー起こして~。あたし、いまだに叩かれた頬が痛いです~」
「スティーブン様に触らないでって騒ぐご令嬢、多かったよねぇ。たかが婚約者のクセに。あたしたちのほうがぁ、もうずっとながーくスティーブン様のお側に居るのにぃ」
なにを言っているのだろう、三人とも。
お茶をかける?
ヒステリー?
頬を叩く?
それに……たかが婚約者のクセに?
つまり、ミアさんもメイさんも、自分達のほうが上だって言っているの?
信じられない。
あなたたち、行儀見習いってだけでしょう?
それなのに、当然のようにスティーブン様にベタベタして。
……ちょっと待って。彼女たちがこんな……あからさまに、スティーブン様の婚約者を見下す態度を取っているのに、どうしてスティーブン様はなにも言わないの?
なにか理由があるの?
それとも……。
ぐるぐるしてくる思考を、なんとか叩き起こして、わたしは聞いた。
「……あの、スティーブン様。もしかして、ミアさんとメイさんの態度はわざと、ですか?」
たとえば、わざとべたべたいちゃいちゃして、婚約者の本性を探ろうとしているの………だとか。
婚約者の……わたしの本性のようなものが見たくて、表面だけを取り繕っているのではない本当のわたしの姿が知りたいとかで、わざと感情を逆撫でするような、婚約者を蔑ろにするような態度を、演技で、あえて行っている……とか。
もしもそうなら、ミアさんとメイさんの態度にも納得ができる。
わざと、婚約者を試すようなことをしていたから、何度も婚約とその婚約解消を繰り返していたのかもしれない。
だから、聞いた。
なのに……。
「んー、半分正解、かな?」
「半分……ですか?」
「そう、確かに、僕はレシュマがどんな女の子か、試してみたんだけどね……。もうちょっと別の理由もあるんだ」
「べつの……りゆう……」
そのあとに続いたスティーブン様の言葉を、わたしは信じられない思いで聞いた。
「最初に言っておくね。結婚というものが、夫一人に対して妻も一人って、ちょっと、どうかなって、常々僕は思ってるんだよね」
ほんわかとした天使のような顔で、スティーブン様が続ける。
「あのね、僕のお父様とお母様はおしどり夫婦なーんて言われてるけど、実際には仲が悪いんだよね。いつも言い争ってばかり。仲裁できる人間もいないから、いがみ合いはひどくなるんだよ」
「は、はあ………」
今は、スティーブン様のお父様とお母様の話は関係ないでしょう……と、言いかけた、ら。
違った。
話は繋がっていた。
「レシュマとの婚約だって、子爵令嬢ってことで、お母様は反対していた。お父様は、他に誰もいないんだから仕方がないだろうって、言っていたけど」
仕方がない。
その言葉がズキリと胸に突き刺さった。
「まあ、だけど、お母様も妥協したんだよ。レシュマには魔法の才能があるって聞いたから」
魔法を使えるのは、貴族の中でもほんの一握りしかいない。
ごくたまに、偶発的に、平民の中に生まれることもあるけど、めったにいない。魔法が使える人間が生まれて、それを磨くことができれは、爵位だってもらうことができる。すごく有名な魔法使いのローレンス・グリフィン・ミルズ様は、元は平民だった。だけど、その魔法の才能のすばらしさによって、魔法伯の位を国王陛下から授けられた。うちの国では、魔法伯は、領地を持たない名誉職でしかないけれど、それでも侯爵よりは下だけど、伯爵よりは上の地位とされている。
「わたしに……魔法伯と同等の力があれば……侯爵家のスティーブン様の婚約者にふさわしいと……」
たしかにわたしの魔法の力は……同世代の人たちよりもちょっとだけ、飛びぬけている……かもしれない。だけど、有名な魔法使いたちに比べれば……大したことないレベルなのに。
「うん、お母様はそう考え直したんだろうね。だから、有名な先生をレシュマの家庭教師につけようとしている」
「そう……ですか」
わたしの魔法がそんな高みに届けば良いけれど……。有名な先生に師事しても、たいしたことがなかったら……。わたし、どうなるんだろう……。
「まあ、そのあたりは僕にはどうでもいいんだけどね」
スティーブン様は、肩をすくめた。
そんな仕草が気障ではなく、すごくスマートに感じる。
だけど、どうでもいい。
わたしの、魔法は、スティーブン様にはどうでもいい……。
「僕にとって大事なことは別のことだ。たとえば僕とミアがケンカしたら、メイが仲裁してくれる。今、ここにはいないけど、僕とミアとメイが仲違いしたら、今度はアリスが仲を取り持ってくれる。だから、奥さんも、一人よりは二人、二人よりは三人居たほうが良いと思っているんだよ」
頭が真っ白になった。
混乱して、それでもスティーブン様やミアさん、メイさんの言葉や態度を理解しようと努めたつもりだった。
でも、もう、スティーブン様がなにを言っているのか、まったく、完全に、わからない。
「レシュマみたいに、穏やかにいてくれる婚約者に、ようやく巡りあえて僕は本当に嬉しいよ。今までの婚約者たちは、ミアやメイが居るだけで、醜い嫉妬心を露にしてきてねえ。ほーんと困ってたんだよ」
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