虫かご
佐々井 サイジ
勇太の夏
じんわりと靴下が湿っていく。
勇太は昨日降った雨の粒がまだまだ葉の上に乗っているなか、竹藪へと足を踏み入れた。靴の周りは砕けた茶色い落ち葉や土がすぐ付着した。指先で靴の汚れを取って葉に擦り付けるが、爪の間に土が入り込んで茶色くなり、すぐに靴はまた汚れた。母に怒られることを想像すると情けない声が漏れるが、それでも勇太は前に進んだ。
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