第6話

 それから2度同じように遊びに行った。(もちろん怪異退治もあった。)それぞれ遊園地では巨大な蛙、映画館では巨大な鈴虫と戦った。


 三人の連携はどんどん良くなっていき、一緒に行動することが多くなった。


 そんなある日、ナオヤが怪異と戦っているとaに伝えられ、現場に向かった。ミナミも同じ頃到着したようで、矢を引き絞っている最中だった。


 相対しているのは巨大な海牛だった。大量の腕が絡み合ったような体表はおぞましい光景だった。


 いつも通りナオヤと僕で時間を作りミナミにとどめをさしてもらおうとしたとき、ふ、と腕が一本体表から飛び出た。


「危ない!」


 腕はまっすぐミナミの方に向かい、その左腕に絡みつく。


「い、た」

「ミナミ!」


 僕は急いでミナミの方に向かいその腕に絡みついた異形を切り裂く。骨は折れてはいないようだが血がかすみ、その手に握られていた弓はぶうんと僻地の電光掲示板のように力無く消えてしまった。


「え! どうして」

「ミナミ、落ち着いて。離れてて」


 焦るミナミに声をかけて海牛に向き直る。僕とナオヤでやるしかない。


「僕が時間を作る!」

「おう」


 言ってナイフを握りしめて駆け出す。どう動けばいいかはナイフが教えてくれる。


「く、そ」


 ミナミを負傷させられたことに怒りが湧き、自分が冷静でないことがわかる。落ち着け、と自分に言う。軌跡に沿って動く。


「ナオヤ!」

「いくぞ!」


 かろうじて作った隙にナオヤが大鎌で切り付ける。脳天に刺さった鎌はそのまま体を両断していく。


 ぶしゅううう。


 海牛は音を立てて崩れ去り、煙になって消えていった。


「ミナミさん! 大丈夫?」

「うん、ちょっと痛いだけ。ありがとう」


 ミナミは笑顔を見せてくれた。そのまま解散の流れになる。僕はもやもやした気持ちを抱えたまま帰路についた。

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