第4章 新入生な貴族令嬢になった編
第61話 S組って19番目の組って事じゃないよな?
「送ってくれてありがとう」
「お手紙書きます」
「嫌だったら逃げ帰って来い」
「2人仲良くね」
「うん」
「はい!」
僕とフローラはエメロン王立学園に入学するため、エルム子爵家の馬車に乗り王都まで旅をした。その間、ガイお爺ちゃんとローズお婆ちゃんが、エルム子爵家の騎士に混じって護衛についてくれた。
ガイお爺ちゃんとローズお婆ちゃんは、王都で1月ほど滞在したあとナザーラ領に戻るらしい。
元々ガイお爺ちゃんとローズお婆ちゃんは王都の冒険者ギルドで教官をしていた。
オルク父さんが行きていた時は、時々家にやって来て冒険者の事を教えてくれたのはガイお爺ちゃんとローズお婆ちゃんだった。
そしてオルク父さんが死んだあとべヘム村まで送ってくれたのもガイお爺ちゃんとローズお婆ちゃんだった。
今ガイお爺ちゃんとローズお婆ちゃんは、ヨウムお爺ちゃんとアンナお婆ちゃんと、冒険者グループ「森の殲滅」を再結成して、王都のダンジョンの方から来たアダマンタイト級やオリハルコン級の人共に攻略を手伝っている。
自ら最前線に立たないのは、領主家の関係者が発攻略を行えば、冒険者達から妬まれると考えての事らし。
ダンジョンの宝箱は再ポップするらしいけれど、少しづつ再ポップの時間が長くなって、中身のグレードも下がっていくそうだ。けれど僕たちが全ての宝箱を1回開けてしまっているのに、既にオリハルコン製やアダマンタイト製の装備などが見つかっているらしい。
裏ダンジョンは、魔の森のトレントの老廃物が溜まりまくっているのか、魔物が強い代わりに、宝箱の再ポップが早く、良いものが出るダンジョンになっているようだった。
「お兄ちゃん、あそこが受付みたいだよ」
「本当だ、でもあんまり並んでないなんだね」
「まだ入学式の3日前だからじゃない?」
「そっか・・・近い人はギリギリで入って来るのか・・・」
ナザーラ男爵領は王都に最も遠い領地だしな、3日の予備日をもうけて出発したのだ。特に何事も無く予定通りについちゃったんだけどね。
「そちらのお嬢さん達、新入生かしら?」
「はい、アニー・ナザーラです」
「私はフローラ・エルムです」
「あら・・・2人は同室なのね」
「はい、従魔を連れて入れる部屋は最上階の個室と2人部屋だけでしたから」
「子爵と男爵令嬢では最上階に部屋を取るのははきついわね」
受付の女性は、僕の肩にとまっているチーたんと、フローラが腕で抱き上げているウサたんを交互に見て納得した顔をしていた。
「これがあなたたちの学生証、学園の中では中ではお金代わりに使えるわ、学生課にお金を預けておくとそこから引き落とされるのよ。あと外では身分証明証として使えるけど、お金になるものだから落とさないよう注意してね」
「「はい」」
銀行カードみたいな使い方ができるのか、便利だな。
「寮は白百合、2階にあがって右側の1番奥の部屋ね、日当たりが良い当たりの部屋よ」
「「はい」」
前に説明を受けていた人は紫陽花と言われていた。どうやら寮は花の名前になっているようだ。
「寮長はエリス・ヒルローズさんよ、最上階の1号室にいるわ、面倒見が良い方だから挨拶しておくと良いわよ」
「「はい」」
最上階って全て個室で豪華な作りになっていて、基本的に伯爵以上の子弟が入るところと聞いている。きっと寮長も良い所のお嬢様なんだろう。
「二人とも暫定B組ね、クラス分けの試験は入学式の翌日にあってそれから本当のクラスが決まるから頑張ってね」
「「はい」」
もしかして成績で頻繁にクラス替えするのかな、同じ教室で仲良くなった奴がすぐいなくなったら寂しいな。
「朝食と夕食は寮費に含まれるから無料よ、ビュッフェスタイルだから時間内に食べてね、昼に食べたい場合は学園の学食か自分で用意するか自由よ、学食は安いから下級貴族には人気ね」
「「はい」」
今まで基本的に決まった昼食というものは無かったけど、学園では昼食という考え方があるようだ。王都の貴族には昼食があるのかもしれない。
「鍵はこれね、2つあるけど1つでも紛失したら寮長に届け出て、お金が必要になるけど付け替える規則になってるから」
「「はい」」
侵入者でもいるのかな?えらく厳重な気がするけど・・・。
「ではエメロン王立学園にようこそ、私は1年S組の担任のシルフィー・エッダ、あなた達のような素直そうな子の担任になれることを祈っているわ」
「「ありがとうございます」」
S組って19番目の組って事じゃないよな?Aのさらに上の最上位の組って事だよな?1学年100人ぐらいって聞いてたし、そんなに組が多い訳は無いよな?
△△△
「こんにちは! 今日からお世話になりますアニー・ナザーラです!」
「アニーと同室のフローラ・エルムです! 宜しくお願いします!」
「あらっ! 随分と可愛い後輩が入って来たのねっ! 私は3年S組のエリス・ヒルローズ、この白百合寮の寮長をしているわっ!」
部屋に荷物を置いたあと、僕とフローラは寮長の部屋を訪ねた。その部屋にいたのはフワフワしたウェーブのかかった髪型で、眼鏡をかけていて、はちきれんばかりの巨乳を持つ女性だった。
「これ、つまらないものですけどどうぞ」
「私もこれをどうぞ」
「まぁまぁご丁寧に・・・ってこれ黄金樹の実じゃないの!? あとこれは・・・えっ?マンドラゴラの妙薬!?」
「僕の領地の森で採れるものなのです」
「私のも領地の森で採ったものから作りました」
なんかプレゼントを渡したらとても驚かれてしまった。どちらも定期的にウサたんの案内で森に採取に行っているので、今では結構収納リングの中に溜まっているものだったりする。
「あなた達、これ価値が分かってるのかしら?」
「プレゼントするとても喜ばれるものです!」
「私も同じです!」
「この量だと2人合わせて金貨10枚にはなるわよ?」
「そうなんですか」
「結構するものなんですね」
前世の価値でいうと1000万ぐらいか、確かに少し高いお土産になったかもな。でも原価タダだしなぁ・・・。
「まぁいいわ・・・。あなた達は私が寮長をしている限りは絶対に守ると誓うわ、何かあったら私に声をかけなさい」
「「ありがとうございます!」」
どうやらかなりの好感触を得られたようだ。3年S組だし、最上階にいるし、寮長になるぐらいだしきっと良い所のお嬢様なのだろう。
「喜んで貰えて良かったね」
「うんっ!」
「じゃあ部屋に戻ったら着替えて外に遊びに行こうか」
「わーい!」
一応最低限のものはカバンに入れて持ってきたし、収納リングの中にも色々入れて来た。けれど王都というぐらいだし、ナザーラの街やエルムの街には無いような凄いものがいっぱいあるのではと思う。リーナから身代金の一部を分け前だと言われて渡されているし、僕もフローラも結構お金持ちになっていたので、ショッピングに行きたいねと話していたのだ。
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