第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト【短歌の部】/菅沼ぜりい
具屋
花の香りのする恋 / 菅沼ぜりい
花束に混ざってあなたに触れたいとおもう 異常だよって教えて
使わない化粧水からふたを開け流した時のやさしいかおり
さみしさは水をふくんで増えるからあんまり海を見てはいけない
(鈴の音) わたしはクマで後ずさるあなたをだれも責めたりしない
部屋の中にわか雨だと気づくとき疎外されたと感じる心
やさしさにごめんと笑って言う時にさざめく木々のしずけさのこと
殴られて恥ずかしいなと思うとき浮かぶ涙はなんだか甘い
傘の中君が何かを話すのを聞き取れなくて笑ってみてる
どうしようあなたが私をほどいても最後になにも残らなかったら
セックスをもう一度して、夢の中乞うた私のばかなせつじつ
まだ壊れていない場所をかき集め、すこし撫でてはくれないですか
許してね加害をやめられない心 飛行機雲になりたかったな
おまじないみたいにきみの下の名を唱えていたから今はくるしい
ソファーにはぬいぐるみたち幸福に座り私はうらやましくなる
簡単に手折れる花はきれいだね誰に供えてあげるんですか
君は犬、私は猫だと話す時 あなたが好きに選んでいいよ
さよならは、たった四文字だったから 長くしようよ、もっと、おねがい
欲しいって思って欲しい だめかなあ 棚からメロンパン取るように
たぶん今見透かされたと思うとき この世にあなたが100人ほしい
春の国 私がいなくてよかったと誰も教えてくれなかったね
第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト【短歌の部】/菅沼ぜりい 具屋 @pantsumusya
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