ウォーキングの道、9分間
天川裕司
ウォーキングの道、9分間
タイトル:ウォーキングの道、9分間
ト書き〈ウォーキング中〉
俺は在宅ワーク。
だから体が鈍るのを避けるため
いつもウォーキングをしていた。
でも昼夜逆転生活だから、歩くのはよく夕方から夜になったりする。
「本当は朝、歩きたいんだけどなぁ」
そして今夜も、
いつものウォーキングコースを歩いていた。
そのコースは小学校周りを歩くこと。
ここは俺の母校で、とても懐かしく、当時の思い出が蘇ったりしてくる。
「嬉しい場所がちゃんと残ってくれてるもんだ。ここはずっとなくならないで欲しいなぁ」
そう思いながら歩いていると、道端に黒い塊のようなものが見えてきた。
なんだろうと思いながら近づいていくと…
「うおわ!!!!」
俺はしばらく沈黙した後、たったったと小走りになり、かなり全速力で走って逃げた。
「ハァハァ…あれは、死体…?」
多分、女の死体が置かれていたのだ。
俺はそれから推理した。
この小学校周りを歩く時間は約9分間。
9分間で1周してくる。
先に歩いたときにはあの死体は無かった。
と言う事は、その9分間のうちに犯人はあそこに死体を置き、
そのままどこかにズラかったのだ。
「警察に言わなきゃ…!」
そう思い、休んでいた公園のベンチから立ちかけた時…
謎の男「…グフフ、わかった?俺、ジャックザリッパー♪これだけ言えば君には分かるよね?」
そう言って男は消えた。
ジャックザリッパーを知っている人にはわかるだろう。
特にアラン・ムーアの書いた『フロム・ヘル』を読んだ人なら分かると思う。
100年の時を超えて未だに謎のベールに
包まれているそのジャックザリッパーの
最もコアになる闇の部分、不思議な部分、
不可解な部分は、その9分間に行われた殺人のこと。
そして翌日からそれ以降、それがニュースになる事はなかった
あれは俺の見た幻なのか。
未だにそれがわからない。
ただ分かったのは、このジャックザリッパーによる事件が事実として、
当時のイギリス人達が感じていたその感覚だけだ。
動画はこちら(^^♪
https://www.youtube.com/watch?v=3UZxIXgj2v8
ウォーキングの道、9分間 天川裕司 @tenkawayuji
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