後方師匠ヅラしていた天の声さん「ワシが育ててそうなったんやない」と言ってしまう【投稿休止中】
みそカツぱん
第1話
「いくぞ、おとーん!」
ジョボボボボボボボボボッ
「はうぁっ!?」
「そんなに気持ちええんか?」
「……どえらい気持ちええで。飛ぶでぇ……」
「喜んでくれて練習した甲斐があるってもんや」
『ええ……(引くわぁ)』
ワイにはときどき『天の声』が降ってくる。
ゆうても、カミサマの声ってありがたい感じやない、もっと近所のおっちゃんみたいな感じや。
コレも葉っぱでケツを拭いてて、ゴワゴワしてるなぁと思ってたら――
『水で流したらええんとちゃう?』
って言われたんや。
それでやってみたら確かにすっきりや。それでも天ちゃん(天の声のこと)は満足できんようで、『立ちながら流すから足までビチョビチョやん』って怒ってたわ。
そんなことなら助言を一発でビシッと決めてくれればええのに、そこはもごもご言って言葉を濁しとったわ。
「クラフトっ! お前は天才や。これからウンコしたとき頼むわ」
「親とはいえ毎回ケツ洗うのは勘弁や」
おとんが水魔法、練習しいや。
ワイは天ちゃんに魔法を練習しろって口うるさく言われとるで。
土とか木をコネコネする魔法とかおかんに大ウケやからな。
「あっ、降ってきたわ」
「おっ、天啓か?」
「何の役に立つかわからんけど、ムダ毛を燃やす魔法やって」
ワイはとーちゃんのボーボーの腕毛を指さしながら答えた。
「も、燃やす!? 熱くねぇかぁ?」
「あ~おとんを燃やさないように練習しろってことらしいで」
「いいかっ! ぜったい、ぜーたっい燃やすなよっ!」
「フリかな?」
天ちゃんが言うにはダニとか住むから燃やして短くした方がいいらしいな。大人になってもいいことばかりじゃないことはよく分かったわ。
『いやいや、大人は楽しいで』
「ホンマ?」
『クラはとーちゃんとかーちゃんが守ってくれとるから今生きてるやんか。でもガミガミ言われたり、手伝いさせられるやろ?』
「そやな」
『大人になったら自分で生きてかなきゃならん。だけどその分なんでも自分で決められるんやで』
「ほーん。なんでもなぁ」
なんかそう言われると楽しそうな気がしてきたわ。でもまだワイは5歳や。家を出るには早すぎるらしい。今は元気に家族が喜ぶことをするで。
3年後。
「なんでや!? ウチらがなにしたっていうんやっ!!」
「おとん……」
『こんな理不尽なこと許されるわけあらへん』
ワイはせっせと毎日がんばったわ。天ちゃんの言う通り、魔法の練習をやって。村のために色々なことをやったわ。
ウンコからたい肥ってのも作ったわ。それのおかげで麦や野菜がどっさり採れてみんな幸せ――――
と思ったのに、ダイカンってヤツが税を上げたっておとんたちが怒っとる。でもワイは子供やからまだピンとこないわ。
『じゃあの、もしクラが最近おやつが食べれるようになってそれを毎回横取りされるようになったらどう思う?』
「そんなの許せるわけないやろっ!」
ダイカンめっちゃ悪いヤツやん。でも偉い人やから、しばくことができんのやって。
『クラ、お前は偉くなれ。それで立派な男になるんやで』
「ワイ農民の子供やけど偉くなれるんか?」
『どうやらこの世界には冒険者って職業があるそうや。お前はアホやから宮仕えは無理や。これで登るしか偉くなる方法はないで』
「アホっていうなや」
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